チームは夏へ向けてもう一度立ち上がる
選抜21世紀枠候補となっていた石橋。今回は21世紀枠が通常の3校から4校に増枠されただけに甲子園初出場の期待が高まっていた。多くの報道陣が吉報を待ったが、その知らせは届かなかった。(取材・永島一顕)
21世紀枠にふさわしいチーム
石橋は昨年の秋季栃木大会準決勝で作新学院を破り決勝へ進出。決勝・国学院栃木戦では惜しくも敗れたが栃木準優勝で関東大会へ出場。エース篠崎晃成(2年)を軸としたチームは初戦で東海大相模に敗れたが決して悪い内容ではなかった。石橋は、栃木県の21世紀枠県推薦校に選ばれると、全国9校の最終候補となっていた。関東大会出場の実績、文武両道伝統校の観点からみても21世紀枠にふさわしかった。しかし、選考委員会発表で校名が呼ばれることはなかった。
悔しさを受け止めて
1月29日午後3時半過ぎ、無念の表情を見せた瀬端徹校長は「残念ながら選ばれませんでした。でも、生徒たちは本当によく頑張りました」と多数の報道陣に向かって深々と頭を下げた。2016年に続き2度目の21世紀枠候補になっていた石橋だったが、今回も吉報は届かなかった。
授業を終えた部員たちは、午後4時ごろ会議室に集合した。
「(選出漏れは)何となく雰囲気で分かりました」(小林到主将)と結果を悟った選手たちは静かに整列。瀬端校長から「選抜出場の連絡は来ませんでした。気持ちを切り換えて春、夏の大会に向けて頑張っていきましょう」と報告を受けると、選手たちは悔しさを振り払うかのように力強く「はい」と応えた。
文武不岐の精神貫く
石橋は昨秋の栃木県大会で準優勝。関東大会では、1回戦で東海大相模(神奈川)に7回コールド負けしたものの、「文武不岐(ぶんぶふき)」(勉強と部活動は一体であり相乗効果をもたらすもの)を掲げての好成績が評価され、21世紀枠の関東・東京地区候補に選ばれた。オフシーズンに入ってからも文武不岐を貫き、「絶対に選ばれるとの思いが強かった」(小林主将)と甲子園の土を踏むことを信じ日々練習してきた。
福田博之監督は「悔しいなぁ」と選手たちに第一声を向けた。そして「みんなの野球、学校生活への取り組みは素晴らしかった。十分成長してくれた」と熱心に練習してきた選手を労った。その一方で「自分の人生55年で一番悔しい」と自身の思いもあらわにしたが、「選ばれなかった原因を考えてチームを作り直そう。(甲子園出場は)夏にチャンスが残っているので、この悔しさを忘れずにはい上がろう」と捲土重来を期した。エース篠崎は、涙ながらに無念の表情をみせた。
選手たちはさらに強くなる
石橋の選考漏れでは、21世紀枠選考の非情な一面を見せつけられた気がした。球春を迎えるころ、たくましくなった石橋ナインの姿が見られることを願うばかりだ。
この悔しさを乗り越えて、石橋はさらに強くなる。
石橋・福田博之監督
胸張って甲子園に行けるチーム
「4年前と同じで悔しいです。胸を張って『選んで下さい』と言えるチームだったので、選ばれることを信じて子どもたちと今日を迎えました。なぜ選ばれなかったのか突き詰めて、そこを埋める練習をして、夏を勝ち抜けるチームを作りたいです」
夏に甲子園へ行く 小林到主将(2年=捕手)
「しっかり準備してきて今日を迎えたので、選ばれなかったことについては悔しいです。悔しさをバネに全力で生活や練習をもっと高めて(チームを)成長させ、夏は勝ち上がって甲子園へ行きたいと思います」
努力はムダにならない 篠崎晃成(2年=投手)
「(選抜に)絶対選ばれるという思いでやってきたので(選考漏れは)悔しいです。これまでの努力が無駄になるわけではないので、夏までに、甲子園に出られるチームに必ずなれるように、気持ちを切り換えて頑張りたいです」