都立のダークホース「八北」
私学強豪キラー
2017、2018年の西東京大会で2年連続ベスト16入りした都立のダークホース八王子北。近年、多くの私学強豪を撃破してきたが、もはや番狂わせではない。
2020年12月号 掲載
■秋季大会は東亜学園と好勝負
私学強豪キラーだ。
2017年夏は、桜美林に1対0で勝利。2018年夏は3回戦で日大二、4回戦で桜美林を立て続けに撃破して周囲を驚かせた。5回戦では東海大菅生と7回まで3対3の死闘を演じたが終盤に力尽きて3対6で敗れた。2019年夏は、3回戦で優勝校・国学院久我山と対戦し、0対2の好勝負を演じている。
野球が大好きな選手たちが、2年半の努力によって強豪を追い詰めていく。八王子北のグラウンドには高校野球の魅力があふれている。
今秋は、1次予選初戦で都立実力校・総合工科に7対5で勝利、都大会1回戦では東亜学園と激突した。5回までに1対9とリードを許したが、6、7回に計7点を奪い、相手を土俵際まで追い詰めた。
■弱気な心を捨て意識改革
中学時代の実績が乏しい選手たちが、いかに成長していくのか。
内田健太郎監督によると、全体練習終了後に、自主練の時間を確保。選手たちは、指揮官のアドバイスを聞きながら黙々と自主練に没頭しているという。内田監督は「選手たちは、野球に対して手を抜かない。いつまででも練習をしている」と目を細める。
新チームのテーマは「弱念を持たない」。
チームミーティングで2年生の宮崎駿也が発案した言葉という。川﨑瑠星主将(2年=内野手)は「チームがさらに強くなるためには、弱気な心を捨てて、強い気持ちを持つ必要がある」と話す。選手たちは技術向上と合わせて、心の強化を図る。
■惜しい試合ではなく勝つ試合
チームは川﨑主将を軸に一つになっている。
打撃は、3番・川主将、4番・阪本澪史(2年=内野手)、6番・雨宮空我(1年=外野手)が軸。阪本は技とパワーを備えた主砲で勝負強さがある。雨宮は、期待の1年生スラッガーだ。4番・阪本は「切磋琢磨することで成長できている」と話す。
守備は、エース上野竜輝(2年=投手)と弟・航輝(1年=捕手)のバッテリーが阿吽の呼吸でマウンドを安定させる。投手陣は川合智加楽(2年)、遠畑大治郎(2年)も力を伸ばし、ブルペンは活気付く。エース上野は「春・夏に私学強豪を倒すため冬にパワーアップして球速を140キロまで伸ばしたい」と目標を立てる。内田監督は「秋季大会で東亜学園に善戦したが、倒すまでの打力がなかった。この冬に打撃力を高めて、惜しい試合ではなく、勝つ試合をしていく」と話す。
チームは「弱念」を打破し、次なるステージを目指す。ダークホースから強豪への道へ、次なる一歩を踏み出す。