【八王子実践】「凡事徹底」 #八王子実践

高校野球と海外野球を融合し新たな挑戦
「凡事徹底」と「走姿顕心」が心の軸

2008、2013年夏に西東京大会でベスト16に進出している八王子実践。パワフルかつ粘り強い戦いがチームの伝統だ。2019年からはOBの河本ロバート監督が指揮を執り、新たなチャレンジに乗り出している。

■秋初戦は一丸野球で逆転勝利

八王子実践がこの秋、魅力ある戦いをみせた。秋都大会1回戦の相手は、八王子北だった。夏のメンバーが残る公立実力校・八王子北に対して、八王子実践はアグレッシブな野球を展開していった。3回に1点を先制した後の4回に阿部幹士主将(2年=内野手)のタイムリー2塁打などで4対0とリードした。5回裏にミス絡みで5失点し一時逆転されたが、7回に齋田治之(2年=外野手)のランニングホームランで一挙4点を奪って8対4と再逆転。そのリードを全員野球で守り抜いて初戦突破を果たした。

殊勲の齋田は「中学まで補欠で野球を続けるか考える時期もあったが、努力した結果がランニングホームランにつながった」と笑顔をみせた。2回戦は堀越に接戦の末、5対6で敗れたが、選手たちは最後まであきらめないプレーをみせた。

■監督と選手のフラットな関係

米国人の父を持つ河本監督は、八王子実践入学後に野球を始めた。亜細亜大で実力を開花させると、その後は米国へ渡りマイナーで5年間、マウンドに立った。その後は、日本独立リーグ、オーストラリア、台湾、コロンビアでプレーし、現役引退後の2016年に母校・八王子実践コーチに就任、2019年から監督としてチームを率いている。

指揮官は、選手たちから「ロバートさん」と呼ばれている。その言葉が、監督と選手のフラットな関係を表している。河本監督は、高校野球と海外野球の良い部分を融合し、選手に野球のヒントを伝えている。だが、決して自身の価値観を押し付けることはない。選ぶのはあくまでも選手だ。指揮官が大事にしている言葉は、当たり前のことを当たり前に実行する「凡事徹底(ぼんじてってい)」と、走る姿は心を表すという「走姿顕心(そうしけんしん)」。指揮官は、選手たちが野球を通じてこの言葉の意味を理解してくれることを願っている。

■常識にとらわれない戦い

八王子実践の背番号、打順はユニークだ。背番号1をつけるのは、攻守の要でキャプテンを務める阿部主将。打順は、好打者から順番に打席に入っている。1番バッターは、チーム1の好打者・矢口丈一郎(2年=捕手)、2番には阿部主将、3番は主砲・辻大翔(2年=一塁手)と続いていく。1番・矢口は「このチームでは野球の常識にとらわれない戦いを教えてもらっています。1番打者として攻撃のスイッチ役になりたい」とバットを振る。河本監督は「セイバーメトリクス(統計学データ分析)などの考えもありますが、純粋に良いバッターから打順を組んでいます。多くの打席が回ってくれば確率は高まっていきます」と話す。

阿部主将は「前チームと比較して選手個人の力は足りないですが、チーム力でカバーして、自分たちらしい野球で勝ち上がっていきたい」と春・夏に備える。八王子実践は、野球を楽しみながら、自分たちらしく戦っていく。

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