2019年夏に初の県決勝進出
個性を磨き、チーム力を高める
2019年夏に初の県決勝進出を決めるなど近年、急激に力を伸ばす新鋭・駿河総合。甲子園は目の前に迫っている。(取材・栗山司)
■卒業生2人がプロで活躍
2019年夏に初の県決勝進出を果たした駿河総合。昨夏の「2020年夏季静岡県高等学校野球大会結果」でもベスト4入り。悲願の甲子園が手の届く位置まできている。
同校はチーム力が年々上昇すると同時に、上のカテゴリーで活躍する卒業生が増えている。2018年に社会人野球を経てOBの杉山一樹(福岡ソフトバンク)がプロ入り。最速157キロの剛速球を武器に今季はローテーションの一角として期待される。さらに、2019年のドラフトで指名された紅林弘太郎(オリックス)はプロ1年目から1軍戦に出場。将来の主軸候補として注目を集めている。
両選手を指導したのは2013年の創部から指揮をとる望月俊治監督だ。将来のある選手に対し、焦ることなく計画を立てて成長を促している。例えばトレーニングは行うが、体を急激に大きくすることはしない。紅林に対しては、大きく育ってほしいと、「ポップフライはオッケー。ホームランだけを狙えばいい」と大胆なアドバイスを送った。
■大型右腕の両輪
そんな先輩たちに刺激を受け、今年も将来性十分の逸材が腕を磨く。
エースの西島賢介(新3年)は身長185センチの大型右腕。ストレートの球速は130キロ前後も、制球の良さが特徴だ。一冬でフォームを見直したことで、球が指にかかる頻度が増えたという。「夏は140キロを出して甲子園に行きたい」と意気込む。さらに、新2年生の原崎翔陽は本格派左腕。身長184センチの長身からキレのあるストレートを投げ込む。「自分の武器は真っすぐで押して三振を取ること。春と夏はチームに貢献したい」と気合十分だ。
■メンバーは競争
昨秋の駿河総合は中部地区大会で前評判の高かった東海大静岡翔洋を撃破(4対1)。1失点で完投した西島は「スライダーを上手くコントロールできた。自信になった」と振り返る。しかし、県大会は初戦で常葉大菊川に惜敗(5対6)。守備での4失策に泣いた。主将の長島与大(新3年=外野手)は「エラーが痛かった。勝てる試合だった」と悔しがる。
冬の期間は、実戦形式の練習を繰り返し、守備に力を注いだ。「今年のテーマは守り勝つ野球です。ミスを減らせば結果はついてくると思います。去年や一昨年の先輩に比べて自分たちはパワーがないので、まずはしっかり守り、そこから攻撃につなげていく野球を目指しています」(長島)。 一方で「打撃も上げないといけない」と話すのが望月監督。「秋はいいピッチャーが相手だと振り負けていた印象があった」と、冬の期間は打撃マシン相手に打ち込んだ。
4月には有望な1年生が入部予定。望月監督の方針で、1年生でも実力があれば、すぐに試合に出場する。「3年生、2年生も冬の間に力をつけてきた。そこに1年生がどう絡み合ってくるか」と競争心を煽る。 あと一歩の甲子園へ。新鋭・駿河総合の挑戦は続く。