【前橋育英 野球部】「覇権奪還」#前橋育英

チャレンジャーとして挑む2021
チームスローガンは「一心」

2013年、夏甲子園初出場初優勝を成し遂げた前橋育英。

2016〜2019年は夏の上州4連覇を果たしたが、2020年夏の独自大会では準決勝で敗れて夏連覇が止まった。今年のチームは覇権を奪還すべく、自身と向き合いながら、ひたむきに練習を積み重ねている。

 

■負けられない戦い

昨夏の準決勝は忘れることができない。コロナ禍の県独自大会、須永武志前主将(JR東海加入)を中心にした前チームは、甲子園という最終目標が消えた状況でも「頂点」を目指して一丸となって戦った。

準決勝の相手は、健大高崎。前橋育英は3回までに4点のリードに成功したが、両雄の戦いはいつも簡単には終わらない。決死の戦いをみせたがゲーム中盤に健大高崎に逆転を許してしまう。終盤は乱打戦となった中で、9回裏に猛攻をみせて4点を奪い、2点差に詰め寄ったが9対11で敗れた。連覇の重圧は、実際に戦った選手たちにしか分からない。戦いに敗れた前橋育英の選手たちは、ベンチで泣きじゃくった。その中には今季のチームの主将・皆川岳飛(新3年=外野手)、エース外丸東眞(新3年=投手)らがいた。

■群馬の覇権を争うバトル

リベンジの機会が、直後の秋季大会で訪れた。

皆川主将、野村慶(新3年=内野手)を打撃の核としたチームは、チャレンジャーとして一戦一戦に向き合った。1回戦・高崎経済大附、2回戦・関東学園大附、3回戦・富岡で勝利し、準々決勝で再び健大高崎と対峙することになった。選抜に出場するためには越えなければいけない壁。群馬の秋の覇権を争うバトルは、立ち上がりこそ静かだったが、中盤以降は互いの意地がぶつかり合う白熱のシーソーゲームとなった。前橋育英は6回に下位打線から上位へとつないで3点を奪い、6対5とリードしたが、その裏に健大高崎打線に5連打を浴びるなど5失点。8回に1点を返したものの7対10で屈する結果となった。

秋季大会を制した健大高崎は、関東大会でも2年連続優勝し選抜出場を決めた。

■敵は己にあり

健大高崎に夏・秋と連敗。この現実は、受け止めるしかない。

前橋育英は2016〜2019年に夏の群馬4連覇を果たした。2019年の夏はミラクルな大逆転劇で健大高崎を下している。悔しさを味わい続けた健大高崎は、チーム強化を図ってきた。前橋育英にできることは原点に立ち戻ることか。2013年夏、チームを全国制覇へ導いたのは『凡事徹底』。当たり前のことを当たり前に。野球の細部を追求したチームは、相手アルプススタンドも湧かせる攻撃的な守備をみせて、失点を最小限に食い止めた。そして、チャンスで相手を仕留めた。守備が大きな武器となることを全国に知らしめたのだった。全国屈指の強打を誇る健大高崎に対して何をすべきなのか。その最適解を求める旅路は続く。今年の選手たちはチームスローガンを「一心」と定めた。

心を一つに、チームを一つに、一心不乱に。戦う相手は敵ではなく、自分たち自身。選手全員が己に勝ったとき、道は拓ける。

 

 

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