準優勝 東海大静岡翔洋
「思いをつなぐ」
17年ぶり決勝の舞台へ 部員一丸となって原監督への思いをつなぐ
「思いをつなぐ」のスローガンのもとチームづくりに取り組んできた東海大静岡翔洋。結実へ向け、17年ぶりとなる決勝進出を果たした。聖地へ一歩及ばずも、チーム最高成績で有終の美を飾った。(取材・栗山司/写真協力・山下大輔)(2021年9月号掲載)
監督を男にする!
ノーシードから優勝候補を次々と破った。大会前に、今春センバツを制した東海大相模(神奈川)の門馬敬治監督の退任が発表され、後任監督として原俊介監督の名前が取り沙汰された。ナインは、東海大静岡翔洋の指揮官として最後の夏になる可能性がある原監督を男にしようと一致団結した。
3回戦で昨秋県準優勝の常葉大菊川と対戦。初回に長村理央(3年=内野手)の満塁本塁打が飛び出し、5対2で快勝する。4回戦ではシード校の浜松工に競り勝ち、準々決勝は桐陽を下した。
準決勝でエース・鈴木が快投
準決勝の相手は春の東海大会を制した掛川西。初回に3番・石上賢真主将(3年=捕手)、4番・落合昴天(3年=内野手)の連続二塁打で先制点を挙げると、3回には落合のタイムリーでリードを広げた。
一方、マウンドで輝きを放ったのがエース・鈴木豪太(3年)だった。相手打線から10三振を奪って完封。初回に自己最速タイとなる144キロを叩き出したストレートに加え、シュート、スライダーといった変化球も冴え渡った。春までは力に頼った投球が目立ったが、相手を見ながら勝てる投手に成長。原監督は「鈴木が安定した力を発揮できるようになったことが大きい」と、17年ぶりの決勝進出の立役者として名前を挙げた。
スローガンを体現した夏
決勝ではあと一歩及ばず、甲子園には手が届かなかった。石上主将は「最後まで諦めずに自分たちの力を出せた」と視線を上げ、「決勝まで来れたのは、部員全員が思いをつなげることができたからです」と胸を張る。 2016年から指揮をとった原監督は「思いをつなぐ」をスローガンにチームを強化。つないでくれた打者の思いを胸に打席に立ち、つないでくれた投手の思いを背負いマウンドに立つ。まさに、それを体現した夏となった。
大会後、原監督の退任が発表され、森下倫明氏(東海大福岡コーチ)の監督就任が発表された。原監督が築いた「思いをつなぐ野球」は生き続ける―。