【鶴嶺】 「一体感」  #鶴嶺

今秋は予選で平塚学園に相手に「下克上」
春・夏のダークホースになりうる存在

 2017、2021年夏に4回戦で進出した実績を持つ鶴嶺。野球小僧が集まるチームはいま、地道に力を蓄えている。秋季県大会の経験を糧にして、春・夏へ向かっていく。

■今夏の初戦敗退からのチャレンジ

 今夏の前チームは神奈川大会初戦で日大藤沢と対戦して3対11で敗れた。3年生が少なかったため、レギュラーの大半は2年生。2年生部員12人と、今春入学の1年生9人で新チームが始動した。山下大輔監督は毎年春、新入生と個人キャッチボールを行って、球質、特長などを確認していくという。2年生にピッチャーが少なかったため、1年生の投手適正もチェックしていたが、田畑陽人、猪田大貴、上川洋瑛の球質に魅力を感じた。田畑は中学まで野手だったが投手へ転向。猪田の制球力、上川のストレートの威力に手応えを感じていた。前チームからレギュラーだった2年生の枠に、1年生投手トリオを組み込んだことでチームは形になっていった。

■チームの成長を結果で示す  

選手たちが力を発揮したのは地区予選の平塚学園戦だ。右サイド変則の田畑が2回無失点で、2番手の猪田へつなぐ。猪田は低めを丁寧に突くピッチングで得点を許さない。投手の奮闘に、守備陣も応えた。ピンチで次々とダブルプレーを成立させて、ピンチの芽を摘んでいった。0対0で迎えた5回、饗庭蒼太(2年=右翼手)、仲澤祐太(2年=二塁手)の下位打線のタイムリーで3点を先制した。鶴嶺は9回にも1点を追加して4対0で9回裏へ。ロングリリーフ猪田が9回無死満塁で交代。相手は逆転を狙ってきたが、エース上川がマックス137キロの伸びのあるストレートを武器に真っ向勝負。犠飛などで2点を奪われたが、4対2で逃げ切って、金星を挙げてみせた。チームは3戦3勝の1位で予選を通過。近年の大会で私学強豪に屈する試合が多かったが、チームの成長を結果で示した。

■秋敗戦も手応えアリ  

チームをまとめるのは、攻守の要・鈴木勘太主将(2年=捕手)。巧みなリードで、1年生ピッチャーの特長を引き出していく。打撃の軸は、3番・山田真成人(2年=内野手)、4番・田野歓太朗(1年=中堅手)、5番・日高悠太(2年=一塁手)。それぞれが役割を果たすことで、チームは一つになる。学校耐震工事のため校庭はダイヤモンドほどのスペースしか確保できないが、選手たちは限られた時間、場所を有効活用して努力を続ける。秋季県大会初戦では白山に序盤に0対4とされたが、1対4で迎えた9回に3点を奪って執念で同点に追いついた。最終的には9回裏に失点しサヨナラ敗戦となったが、持てる力は発揮した。選手たちは今秋を起点にして、さらなる成長を目指す。謙虚な姿勢で練習に取り組む野球小僧が集うチームは、一体感を武器にさらなる下克上を狙っていく。

 

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