都立屈指の実績を残す伝統校
選手10人からの再チャレンジ
1978年、1985年に西東京大会で準優勝した元祖都立の星・東大和。新チームの部員数は14人(選手は10人)だが、魂は変わらない。歴史あるユニフォームに袖を通す選手たちは、伝統継承のミッションを背負って白球を追う。
■新チームは全員野球を実践
東大和は、都立レジェンド指揮官・佐藤道輔監督が指導していた1978年、1985年に西東京大会で準優勝を果たした歴史を持つ。学校の中に甲子園あり。佐藤氏は著書「甲子園の心を求めて」で説いた。それらは、現在の都立高校野球界に広く伝わり、都立指導者たちの指針の一つにもなっている。その後も確かな実績を残してきたチームだが、今夏に3年生13人が引退して、1・2年生はマネージャー、女子部員を含めて14人、選手登録は10人となった。今秋の一次予選決勝は、選手1人が欠場し9人での戦いになったが全員野球を実践してみせた。
■少数精鋭で伝統を継承へ
2022年春からチームを任されているのは、小平南、東村山西で実績を残した三國力監督だ。新指揮官は、伝統校の部員減少という状況に直面したが、前向きにチーム強化に取り組んでいった。新チームでは10人での戦いとなるため、選手の複数ポジション制を準備。エース昼神友汰(2年)の軸はあるが、捕手の久保勝敏(2年)を投手と兼任とし、投手陣に厚みを持たせてチームの土台を固めた。8月には、静岡合宿を行い、基礎を確立すると共に結束を強めた。岩崎銀仁主将(2年=内野手)は「人数の少なさをみんなでカバーできるチーム。少数精鋭で伝統を継承していきたいと思う」とチームを牽引する。
■チームに根付くスピリット
新チームで迎えた秋季一次予選では、初戦で日大一と対戦。7回表を終えて1対5とリードを許す展開となったが、7回裏に2点、8回裏に一挙4点を奪って7対5の逆転勝利を決めた。一次予選決勝・篠崎戦では、岩崎主将が欠場となり9人での戦いを強いられたが、先発の久保から、エース昼神への継投で善戦。守備では2失点で耐えたが、打撃であと一本が出せずに0対2で惜敗した。主将欠場という不運もあり、都大会出場は果たすことができなかったが手応えはつかんだ。三國監督は「秋予選は10人での戦いとなったが、東大和の伝統やスピリット、野心はチームにしっかりと根付いていると感じた。選手たちと一緒に伝統を守りながら、新しい歴史を作っていきたい」と前を向く。伝統は守るだけではなく、自分たちで築くものでもある。新生・東大和は、次なる時代を切り拓いていく。