自分たちの野球を信じ戦った聖隷ナイン
後輩に夢を託しグラウンドを後にする
今春、まさかの選抜落選を経験した聖隷クリストファー。大きなショックを受けながらも、前を向いて取り組んできた。今大会も決して平坦な道のりではなかったが準決勝進出。しかし、選手たちはベスト4という結果に悔しさを滲ませた。
■あの日から半年
「もっとノープレッシャーの中で戦わせてあげたかった。あの日から…長かったですね」 1月28日の選抜発表から半年。上村敏正監督は準決勝敗退後、そうポツリと語った。
昨秋は東海大会で準優勝。選抜出場が確実視されている中でまさかの落選。野球界を揺るがす騒動に発展し、世間の注目を集めてきた。「まるで作りごとの世界に入れられたような感じ。あの子たちは何をしたんだろうか。何もしていないのに、そういう目で見られて…。それでも、生徒たちは強いなって。私の方が弱かった気がします」
■聖隷らしさを発揮し勝ち上がる
1回戦では難敵の静岡市立に対し、3対2で勝利。続く2回戦は春の東海大会王者で第1シードの浜松開誠館を撃破する。4対4で迎えた6回に9番・小出晴希(3年=外野手)のタイムリーなどで4点を奪った。 3回戦(対浜松城北工)は5回まで0対5とリードを許す苦しい展開。それでも終盤に追い上げて逆転し、最終的には8対5で勝利。昨秋の東海大会で見せた「ミラクル聖隷」の姿がそこにあった。
準決勝の静清との試合は3回途中で雨が強くなり、大会史上初の継続試合となった。3回表1死から再開された翌日の試合。立ち上がりに1点を失うと、7回にも2失点。打線も、相手投手を最後まで攻略できなかった。「優勝して、自分たちの野球が間違っていなかったことを全国で証明したかった」と試合後、取材に応えた主将の弓達寛之(3年=投手)。「最後の最後に力を出し切れなかったのは自分たちの弱いところだと思いますし、上村先生が普段やられている野球で優勝できなかったことが悔しいです」。
■後輩に夢を託す
準決勝は4人の2年生がスタメンに名を連ねた。弓達は「2年生にはこの経験を生かして来年は優勝してほしい」と下級生に夢を託す。
この負けを無駄にすることなく、悲願の甲子園出場に向けて、再スタートを切る。