今春都大会制覇、関東大会準優勝
2019年夏以来3年ぶり甲子園へ

 今春の都大会を制覇し関東大会で準優勝となった関東一。コロナ禍でも地道な努力を続けた選手たちは、3年ぶりの甲子園へ覚悟を決める。

■春都大会優勝で第1シード獲得  

昨夏の東東京大会決勝で味わった悔しさは全員が共有している。昨夏の東東京大会決勝で二松学舎大附と対戦した関東一は、エース市川祐(現日大1年)の粘投も実らず1対5で敗れて甲子園出場を果たすことができなかった。先輩たちの涙を力に変えて始動したチームだったが秋都大会準決勝で再び二松学舎大附と対峙し1対6で屈した。関東一は、選抜出場の可能性が絶たれた。東東京の覇権を争う相手に対して2連敗。冬に地道なトレーニングを繰り返したチームは、春都大会決勝で二松学舎大附に7対3で勝利。一丸となった戦いで、夏の第1シードを手にした。一戦ごとに進化したチームは関東大会でも底力を発揮し準優勝で春を終えた。

■コロナ禍初期の2020年春入学  

今年の選手たちは、コロナ禍初期の2020年春入学。選手たちの入寮は6月中旬にずれ込み、練習は大幅に制限された。選手たちは限られた時間を有効に使い切磋琢磨したが、前チームでレギュラーをつかんだ選手はいなかった。米澤貴光監督は「この世代の選手たちは頑張ってくれていたが、先輩たちのチームに食い込めなかった。ただ、普段の生活、野球に取り組む姿勢が変わってきていたので成長してくれると感じていた」と話す。チームは、リーダーシップみなぎる攻守の要・秋葉皓介主将(3年=内野手)を軸に、戦う集団へと変貌していった。そして、今春都大会で戦果を残した。秋葉主将は「春の優勝は自信になるが、慢心になってはいけない。去年のチームも春優勝して夏へ挑んだが決勝で勝てなかった。春と夏は、まったく別の戦い。総力戦で一戦一戦勝ち上がっていきたい」と臨戦態勢に入る。

■投打の戦力充実、一致団結  

個性あふれる打線だ。国内屈指のスピードを持つ俊足打者・柳瀬冬和(3年=外野手)、三浦麟(3年=外野手)が相手に圧力をかけると、高校通算30本塁打の井坪陽生(3年=外野手)、スタンドへ運ぶパンチ力をみせる富岡大阿(3年=捕手)、鋭く低い打球を外野へ飛ばす須藤彪(3年=内野手)らが勝負強い打撃をみせる。秋葉主将、増尾己波(3年=内野手)も役割を果たし、どこからでも得点が奪える打線に仕上がった。投手陣は、サウスポー桝川颯太(3年)、骨太右腕・成井颯(3年)の2枚がゲームを作っていく。井坪は「夏は全員が同じ方向をみて戦うことが大切。みんなの力を合わせて甲子園へ行きたい」と大会へ臨む。第1シード関東一は、迫力の打撃、果敢な走塁、堅実な守備を土台にして勝者の歌を奏でていく。

 

主砲/井坪陽生(3年=中堅手)

高校通算30本塁打の右の大砲。投手としても144キロをマークするプロ注目の「二刀流」

 

打撃陣

柳瀬冬和(3年=右翼手)
50メートル5.9秒、国内トップレベルの俊足を誇るスイッチヒッター。小技も光る1番打者

富岡大阿(3年=捕手)
強肩強打の都屈指の大型捕手。秋葉皓介主将、成井颯と同じ「取手リトルシニア」出身

須藤彪(3年=二塁手)
巧みなバットコントロールで長短打を放つ主軸。スピードも備え、関東一野球の体現者

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