強豪校にも怯まず立ち向かうポテンシャル軍団
冬のレベルアップから夏のナンバーワンを狙う
秋季県大会では強豪・東海大静岡翔洋に敗れるも、4対5と大いなる可能性を示した浜松修学舎。今年から元プロの藤﨑大輔監督の指導の下、確実に地力を養っている。(取材・栗山司)
■秋はあと1人から敗戦
今年2月、プロ野球の日本ハムでプレーした経験を持つ藤﨑大輔監督が就任した。「純粋な子たちばかり。自分たちで考える野球ができることが理想です」と抱負を語る。 今秋、新監督に導かれたチームは3年ぶりに県大会へ。初戦で強豪・東海大静岡翔洋を土俵際まで追い詰めた。 3点の先制を許すも、6回に4番・宮坂圭(2年=内野手)の3点タイムリーで同点とすると、7回には敵失に乗じて1点を勝ち越した。夏の期間の猛練習や、県外の強豪校と練習試合を重ねたことが選手たちの自信になっていた。 9回裏は7番打者と8番打者を抑え、勝利まであと1アウト。しかし、ここから同点を許すと、延長11回にも失点してサヨナラ負けを喫した。 主将の鈴木春翔(2年=捕手)は「9回2アウトから自分がリードで急いでしまったのかもしれません」と反省。あらためて1球の大事さを痛感し、大会後はどんな練習でも最後まで手を抜かないことにこだわっている。
■愛される野球部を作る
日々の練習は、校舎から約2キロ離れた総合グラウンドで行う。平日は16時から21時の間でキャッチボール、シートノック、バッティング、トレーニングをこなしていく。 藤﨑監督のもと、技術だけでなく、心も鍛えている。目指しているのは周囲から愛され、応援されるチーム。毎朝の挨拶運動に始まり、学校行事では率先してリーダーシップをとり、準備や片付けを行っている。そこには藤﨑監督の「社会に出て通用する人間になってほしい」との思いがある。 選手とともに寮に住み込む藤﨑監督。ときには選手たちに冗談を飛ばして同じ目線で接する一方で、厳しさもある。鈴木はこう話す。「監督は時間には厳しいです。『社会に出たときに仕事に間に合わなかったら信用をなくす』と言われています。朝食のときは10分前には必ず席につくようになりました」。
■総合力を上げて初の甲子園へ
2023年の目標を問うと、鈴木は目を輝かせて即答した。「夏に静岡でナンバーワンになって甲子園に行きたいです」。 秋は相手に食らついていく野球で勝ち上がった。いわゆる弱者の戦いに徹したこともあった。だが、藤﨑監督は「それだけでは夏は戦えない」と投げる、打つ、走るといった総合力アップを課題に掲げる。「まずはエースと4番をしっかりと作ること。それに控え選手を含めた全員がレベルアップしていけば面白いと思います」 志を高く持ち、冬を乗り越える。