【片倉】 「野心」

2012年夏西東京大会ベスト4の都立の雄
夏に照準を合わせて甲子園へ挑戦

 都立のプライドを前面に出して戦っていく伝統校・片倉。投打にポテンシャルを秘めるチームは、夏に照準を合わせて貪欲に勝利を狙っていく。

■私学撃破へ果敢にチャレンジ  

強豪ひしめく西東京で実力を誇示している片倉。個性あふれる選手たちが2年半という高校野球でひたむきに努力して結果を追求していく。2012年夏には4回戦で東海大菅生に勝利するなど進撃をみせるとベスト4の戦績となった。最近でも私学すう勢の状況で、2018年夏に4回戦で国学院久我山、5回戦で日野に勝利してベスト8へ進出するなど、各大会で白熱の戦いをみせている。昨夏は、プロ注目右腕・ジョンソンマーカス太一(今春卒業)を擁して大会へ臨むと3回戦で桜美林と対戦。立ち上がりにリズムがつかめなかったことも影響して0対7で敗れたが持てる力は発揮した。選手たちは都立のプライドを胸に私学撃破へチャレンジしている。

■百戦錬磨の指揮官の情熱  

選手たちを心身ともに鍛え上げるのは、指導歴43年目の宮本秀樹監督だ。大学卒業後に野津田、東大和、府中工での指導を経て2009年秋から片倉でタクトを振る。都立の野球を知り尽くすベテラン指揮官は5年前から再任用となり5年間の任期をまっとう。学校、関係者からの要望によって、2023年度からは部活動指導員として選手たちを指導する。宮本監督は「若手に道を譲る選択肢もある中で、学校側から依頼をもらったことに感謝している。多くの試合を経験してきたからこそ伝えられることがある。指導人生の集大成と言えば、大袈裟かもしれないけど、これまで以上に強い覚悟を持ってやっている」とグラウンドに立つ。百戦錬磨の指揮官の情熱は、決して枯れることはない。

■情熱と野心を持って最後の夏へ  

今年のチームは攻守のバランスが取れている。バッテリーを軸とした守備でリズムをつくって攻撃へつなげていく。エースは、右サイドの高橋利季(3年)。昨秋はコンディションが整わずに都大会ではマウンドに上がらなかった。だが、冬のトレーニングで安定感が増し、エースとしての自覚が増した。投手陣をまとめるのは、生江健太郎(3年=捕手)。攻守の要となるのは都立屈指のショートストッパー湯地詠斗(3年)、そして甲斐甚哉主将(3年=外野手)が個性派集団をまとめている。昨秋は1回戦で青山に勝利したが2回戦で帝京に屈した。今春は1回戦で石神井に勝利したものの2回戦で早大学院に敗れた。負けた相手はいずれも今夏の優勝候補だったが、その壁を越えなければ甲子園は見えてこない。「片倉の意地をみせたい」(甲斐主将)。片倉は、情熱と野心を持って戦いに挑んでいく。

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