逆境を乗り越えていく覚悟
シードの壁を越えていけ
2021年夏に4回戦へ進出するなど各大会で粘り強い戦いをみせる県立実力校・鶴嶺。さらなる高みを目指すチームはシード撃破を目標に鍛錬を積んでいる。
■私学強豪相手とどう戦うか
シードの壁を越えることがミッションだ。昨夏の神奈川大会では、2回戦で厚木に1対0で勝利するなど持ち前の粘り強さを発揮し4回戦へ進出。ベスト16入りをかけて相洋と対戦したチームは初回に2点を先制するなど決死の戦いをみせていく。序盤に一進一退のシーソゲームを演じた中で、最終的には5対10で敗れた。新チームは予選で平塚学園に屈したものの、2勝1敗で予選を突破し本大会へ。初戦で柏木学園に8対7で競り勝つと、2回戦では慶応と対戦した。チーム一丸で真っ向勝負を仕掛けたが1対10で力尽きた。
篠崎温人(2年=内野手)は「相手投手からヒットが打てずに、守備でも耐えられなかった。チームとして力不足だった」と振り返った。
■攻撃のバリエーションアップ
夏に相洋、秋に慶応に屈した鶴嶺。シードレベルのチームと、いかに戦うかが課題となっている。2018年から指揮を執る山下大輔監督は、2018年秋3回戦で横浜に敗れる悔しさも味わった。指揮官は「シードレベルになると、守るのはもちろんだが、得点を奪わなければ突き放されてしまう。得点を奪うバリエーションを増やさなければいけない」と話す。
秋季大会を終えたチームは、フィジカル強化に取り組むと共に、投手陣の再整備、チームバッティング強化、機動力アップに力を入れる。エース候補の水澤陽(2年)が「スピードとキレを上げて、力のあるチームを抑えていく必要がある」と話せば、伊藤純平(2年=内野手)は「チャンスで確実に得点を取って、ピッチャーを助けていきたい」と力を込める。
■2年生全員がキャプテン
3年生18人が引退し、2年生は7人、1年生は12人。学校校舎の耐震工事のためグラウンドが縮小されているが、モチベーションは変わらない。コロナ禍と環境変化に対応して、時短練習、スペースの有効活用など創意工夫で練習に励む。また、アルティメット(フリスビー)など野球以外のスポーツも取り入れて総合能力の向上につなげている。細山七琉主将(2年=外野手)は「2年生は7人だが、全員がキャプテンの位置付けで、みんなで盛り上げている。チームワークの良さを生かして、私学強豪に競り勝っていきたい」と春・夏を見据える。
この冬は、1年生を含めてチーム全体の底上げが進む。山下監督は「逆境を乗り越えることでチーム、選手は強くなれる。これまで越えられなかった壁を打ち破っていきたい」と選手に期待を寄せる。人数、環境は限られているが、チームの可能性は無限だ。