【桐朋 野球部】「文武一道」 #桐朋

勉強も野球も「全身全霊」の伝統進学校
高い目標へ向かって努力することの尊さを教える

 たゆまぬ努力で地力をたくわえている伝統進学校・桐朋。規律と自主性が調和するチームは「文武一道」を部訓として甲子園に挑戦し続ける。

■確かな実績と選手の成長  

選手たちが、伸びる“土壌”がここにはある。東大をはじめ名門大に多くの合格者を輩出してきた野球部は、2003年の秋季都大会で日大三を下してベスト8入りし、その戦いぶりが評価されて選抜大会21世紀枠候補に選出された実績を持つ。近年は白星を積み上げることはできていないが、1975年の西東京大会でベスト4。2019年の西東京3回戦では日大三と真っ向勝負して1対4と善戦。昨秋は5年ぶりに予選を勝ち抜き都大会へ進出。冬を越えた今春は都大会1回戦で豊島学院に20対8で競り勝ち2回戦へ進出。早大学院とシーソーゲームを展開し6回を終えて9対6とリードしたが、終盤に耐えきれず11対14で敗れた。3回戦進出は果たせなかったが、チームは確かな手応えをつかんだ。

■「挑戦 甲子園」の横断幕  

歴史の重みが漂う校門をくぐり、グラウンドにたどり着くと、バックネットには部訓「文武一道」の横断幕が掲げられ、3塁側ネットには「挑戦 甲子園」の横断幕がたなびく。選手たちは、部訓と「甲子園」の文字を目にしながら日々のトレーニングに励んでいる。選手たちを見守るのは、指揮歴30年目を数える田中隆文監督。中高一貫伝統進学校としての矜持を示しながら、多くの選手を育て上げた。最近でも桐朋野球部OBが2年連続で東大野球部主将を務めるなど、甲子園以上の重みがあるかもしれない“特別な実績”を残してきた。「文武一道」という部訓を浸透させた田中監督は「野球と勉強は、別々の道ではなく同じ道。50%、50%ではなくどちらも100%で取り組むことが大切だと考えている。甲子園という高い目標へ向かって努力することが、選手たちの成長へつながっていく」とノックを打ち込む。

■失敗を恐れずに挑戦する  

グラウンドでは選手たちが、それぞれの意見を交換しながら切磋琢磨を続けている。時代が移り変わる中で、野球部の原点は変わっていない。コロナ禍によって制限こそあるものの、計画を立てて取り組むことで新たな道が見えてくる。「甲子園」という目標を仲間たちと共有する冨田涼輔主将(3年=内野手)は「高校球児であるかぎり、上を目指さなければいけないと思います。目標が高ければ高いほど、自分たちは成長できると信じている」と努力を続ける。田中監督は「必ずしも勝利だけが成功ではない。失敗を恐れずに挑戦すること、目標に向かって歯を食いしばりながら努力することの尊さを教えていきたい」と話す。「挑戦」とは、自分たちの限界を超えていくこと。甲子園という目標が選手を成長させていく。

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