【金沢】 「考える野球」

「公立最強」から「神奈川最強」への挑戦
2022年春夏連続でベスト16進出

 

 2022年春夏ベスト16の金沢は近年、公立校としてトップレベルの戦績を残している。選手たちは日々の時間を有効に活かしながら貪欲に成長を求めていく。その先に神奈川の頂点がみえてくる

■選手が成長する土壌  

金沢は2018年春夏にベスト8に進出。コロナ禍の2020、2021シーズンは2、3回戦で私学強豪と対戦するケースが多く、勝ち上がることができなかったが、力は維持していた。そして、2022年春は4回戦進出、同年夏は5回戦へ進み、2季連続でベスト16の結果を残した。昨夏の主軸で今春卒業した飛田悠成は、昨秋のドラフト会議でソフトバンクから育成指名されて入団した。金沢からは初のプロ野球指名で、ソフトバンクでは投手としてスタートを切った。まったくの無名だったが、未知なる可能性を秘める飛田には大きな期待がかかっているという。  結果と共に、選手が成長する土壌ができあがってきた金沢が過去2年で敗れた相手は、甲子園実績を持つ日大藤沢、桐光学園、慶応など私学実力校。神奈川私学列強の壁を越えていくことが、金沢の次なるミッションとなっている。

■上へと伸びていく選手たち  

チームを率いる吉田斉監督は、横浜高出身。高校3年時には主将として選抜甲子園に出場し準優勝の実績を持つ。横浜商を経て2017年4月に金沢へ着任し部長、2018年秋から監督となった。金沢に来て驚いたのは選手の向上心と自主性だったという。指揮官は「高校野球の世界はトップダウンが多かったと思いますが、金沢の選手たちはヒントを教えると自分で黙々と取り組んで身につけていきます。選手たちの『成長したい』という気持ちに寄り添うことが大事だと感じました。金沢で野球をしているプライドが彼らを成長させていると思います」と話す。選手たちは、上へと伸びる樹木のように進化を遂げていく。それが金沢の強さの証だ。

■勢いに乗ったときの爆発力が武器  

今年のチームは、一体となって盛り上がれる集団だ。勢いに乗ったときは爆発的な強さを発揮する。チームの中心は、山口颯太主将(3年=内野手)、内山義己(3年=内野手)、髙橋洸士(3年=外野手)ら。前チームからレギュラーだった内山、髙橋が勝負所で強振をみせてチームのスイッチを入れる。守備は、エース左腕・安藤晴(3年)がストライクゾーンの幅を活かしたピッチングで的を絞らせない。昨秋は3回戦で横浜高と対戦して完敗を喫したが、チームは冬を超えて心技体で成長を遂げた。山口主将は「今年のチームは全員が同じ方向を向いて努力することができます。自分たちらしい『考える野球』で私学を倒していきたい」と夏をにらむ。金沢の戦いは、公立最強から神奈川最強へのチャレンジだ。

 

 

 

 

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