“新しい野球文化”構築で復活へ
140キロ超えの右腕エース神山が軸
2015年春ベスト4の実績を持つ県立実力校・太田東。3年前には一時部員が減少したが、指揮官、選手たちの志によって復活のルートが見えてきた。
■2024シーズンのダークホースへ
野球を本気で楽しみながら貪欲に結果を追求するチームだ。2013年夏にはベスト8へ進出、2015年春には準々決勝で前橋商を撃破してベスト4へのし上がった実績を誇る。以降は、私学すう勢の流れなどによって勝ち上がることができず、部員も減ってしまった。2021年秋の新チーム始動時には10人まで減少したが、桐生南で指揮を執った石井洋之監督が就任。合同チームになっても不思議ではなかったが、選手と共に立て直しを図ってチームには活気が戻ってきた。2024年3月時点での部員数は、新3年生12人、新2年生10人+女子マネージャー2人の計24人。野心を秘めた選手が揃い、2024シーズンのダークホースになる可能性を秘めている。
■考えることを習慣化し実践
2021年から指揮を執る石井監督は、桐生南時代にベスト4進出を果たすなど県立旋風を起こしてきた。投手発掘、投手育成のスペシャリストで、中学時代の実績がない投手を独自のノウハウで育て上げてきた。太田東でも投手陣を整備する一方で、「考える野球」を選手たちに浸透させている。実戦練習では「ノーアウト1塁、カウント2―1(2ボール1ストライク)での投手心理は?」と選手に問いかけて、配球予測とランナーの動きを確認していく。石井監督は「考えることを習慣化して、さらに実践していくことが必要。マニュアル野球ではなく、太田東の“新しい野球文化”を作っていきたい」と語る。チームは冬に、普段の練習を保護者に公開する「練習見学会」を実施するなど新たな取り組みを始めている。
■明るく爽やかに過去を超える
今季の太田東は、140キロ超えの右腕エース神山颯汰(3年)を絶対軸に、宮川結人(3年)、茂呂壮真(3年)、村田竜輝(3年)の投手カルテットが確立されてゲームの計算が立つ。エース神山は「私立強豪を倒すピッチングをみせたい」と春を待つ。攻撃は、天川新大主将(3年=内野手)、185センチ97キロの主砲川邉良真(3年=内野手)、俊足巧打のリードオフマン鬼柳友翔(3年=外野手)らの個性が光る。昨秋は1回戦で富岡に勝利したが2回戦で渋川清翠に4対5で惜敗。その悔しさを春・夏の2大会へぶつけていく。 チームスローガンは「明るく爽やか・先人超え」。明るく爽やかに野球と向き合い、過去を超えていく。天川主将は「みんなの力を合わせて戦っていけるチーム。過去最高のベスト4以上を目指す」と視線を上げる。指揮官の戦術と選手の意志がかみ合ったとき、チームは飛躍を遂げる。