「ミラクル起きず・・・」
「力負けでした」木本圭一主将
「ピンチでの忍耐力の差が出てしまった」片桐健一監督
実力校を破り駒を進めるも 準決勝はまさかの5回コールド敗戦
2年ぶりの選抜出場を視野に秋季大会へ挑んだ桐蔭学園。
2018年秋のようなミラクル劇をみせることができずに準決勝で惜しくも敗れた。
試合後の涙が、選手たちを強くする。
2020年11月号掲載
■3回戦で慶応に勝利したが・・・
2018年の秋は、大型遊撃手・森敬斗(現横浜DeNA)を軸に、神奈川県大会で準優勝。
関東大会では1回戦常総学院戦9回裏に森が逆転サヨナラ満塁弾を放って勢いに乗ると、そのままミラクル劇を演じて関東の頂点にたどり着いた。
そして翌春の選抜へ出場した。
今秋は3回戦で慶応義塾に6対1で勝利し、準々決勝では白山との乱打戦を11対10で制して準決勝へ。
チームの雰囲気は、2018年秋と似ていた。
関東大会出場権を懸けたセミファイナルの相手は、鎌倉学園となった。
■準決勝はまさかの結果に
周囲のだれもが接戦を予想したが、準決勝のスコアは桐蔭学園にとって意外な展開になってしまった。
桐蔭学園は山口凱矢が先発のマウンドに上がったが不安定な立ち上がりとなる。
1回2死1・2塁で長打を許して初回に2失点。
続く2回は四死球でリズムを崩し、上位打線の3連打で計4失点。序盤で6点のビハインドになってしまった。
イニングはまだ2回だったため巻き返しは十分に可能だったが、打線が相手のエース増島圭祐を捕えることができない。
3回までの出塁は、四球の一度だけ。
その状況下、追加点を許してはいけなかったが、4回に2番手・中本統一が3点を失い、リードを広げられてしまった。
4回裏に慶野壮司、木本圭一の連打、4番松下歩叶の四球で無死満塁のチャンスを迎えたが、相手パスボールで本塁を突いた慶野がタッチアウトになるなど不運もあり、得点ならず。
結果は0対10の5回コールド負けだった。
■傷ついたプライド
こんなはずではなかった。
試合後、桐蔭学園のベンチ裏からは悲しみの声が聞こえてきた。
木本主将は「自分たちが目指す積極的な野球を相手にやられてしまった。勝負強さが足りませんでした。力負けです」と肩を落とした。
片桐健一監督は「実戦に通じる練習をしてきたつもりだったが甘さが出てしまった。ピンチでの忍耐力の差が、結果につながった。2年前と比較すれば、投打の中心選手の力が足りなかった。勝負所で力を発揮できる選手を育てなければいけない」と語った。
2年前の秋のようなミラクルは起きなかった。
傷ついたプライド。
ミラクルは起きるものではなく、自らが起こすもの。
この悔しさを力に変えて、再び、立ち上がっていく。