サウスポー宇山 絶対エースの安定感
困難を乗り越えてチームは強くなる
秋準優勝の日大三が春季都大会準決勝で二松学舎大附に逆転勝利、秋春2大会連続で決勝進出を決めた。決勝は延期になっているが、チームは夏に照準を定めて突っ走る。
■進化の過程を示す舞台
日大三は昨年の秋季都大会決勝で東海大菅生に敗れて惜しくも準優勝となった。それでも選抜出場の可能性を残してトレーニングに励み、1月下旬の選考委員会を迎えたが、結果的に「選抜切符」は届かなかった。チームは悔しさを噛み締めながら現実を受け入れた。小倉全由監督は「力がなかったから(選抜に)選ばれなかった。強い気持ちで夏へ向かっていこう」と選手たちに伝えて、新たなスタートを切った。成長をみせるためには、負けるわけにはいかなかった。日大三にとって春季都大会は進化の過程を示す舞台となった。
■準々決勝は明八に逆転勝利
チームは左腕エース宇山翼が絶対的な軸となり、投打のバランスが成り立っている。春季都大会を迎えた日大三は1回戦松原、2回戦堀越戦で順当勝ち。3回戦では日大鶴ケ丘相手に接戦となったものの、エース宇山が粘り強い投球をみせて4対2で勝利。準々決勝では、今大会で勢いに乗る明大中野八王子とのゲームになったが、先発・岡村海琉からエース宇山へ早めの継投策を選択した状況で3回に3点を先制されたがその裏に3点を奪い返して3対3へ。日大三は4回に1点、7回に2点を奪うと、立ち直ったエース宇山が4回以降は相手に得点を与えずに6対3で逃げ切った。
■準決勝は左腕エース対決
準決勝の二松学舎大附戦は、エース宇山と相手エース秋山正雲の左腕対決となった。日大三は4番山岡航大、土屋マックス清文、安田和輝らの活躍で7回までに3対0とリード。しかし、8回に宇山が連打を浴びるなど4失点。3対4と逆転を許し嫌なムードになったが、選手たちは屈しなかった。9回に山岡、鎌田慎也のタイムリーで2点を奪い、逆転に成功。「秋に決勝で負けてからずっとバットを振り込んできた」(鎌田)。たくましさを身につけたチームは、秋に続いて2大会連続の決勝進出を決めた。小倉監督は「ピッチャーがある程度投げてくれる中で、秋はなかなか打てなかったが春は打てるようになってきた。ここから投打の質をあげていく」と手応えを感じていた。