【農大一】  「なせば成る」

世田谷の真ん中から旋風起こせ
今秋は一丸となった戦いで32強進出

 2000年夏に4強へ進出した実績を持つ伝統校・農大一。高い進学実績を誇る文武両道校は、自分たちのスタイルで野球に向き合う。

■高い進学実績、溢れる活気  

学校全体に活気が溢れている。農大一の校舎は、世田谷区の東農大に隣接する場所にある。校庭は全面人工芝。その場所を、野球、サッカー、ハンドボールなど中学・高校の7つの部活で共用しながら練習を行う。部活動が盛んな一方で高い進学実績を誇り、2021年卒業の野球部OBたちも難関大学へ進学した。数年前は部員数が減少する時期もあったが、近年は1学年10人強の選手たちが集まり、農大一のスタイルで野球に取り組んでいる。野球部を指導するのは農大一OBの山崎雄夫監督だ。コーチとして2000年夏に4強進出を経験した指揮官は「昔と今では環境や条件が違いますが、じっくりと課題に取り組んでいくことで選手たちは必ず成長していきます」とチームを見守る。

■新チームは全員がキャプテン  

今季の新チームは、全員がキャプテンの位置付けだ。ゲームキャプテンには畑廣人主将(2年=内野手)を指名したが、みんなでチームを作っている。前チームでは主将の小林龍矢が絶対的な軸だったが、その存在感の大きさゆえ、他の選手がやや頼り切ってしまう傾向があった。その経験をもとに始動したチームは、順調な仕上がりをみせた。チームの幹となったのは、前チームからのマウンド経験を持つ笹木理一(2年)、大谷明之祐(2年)のダブルサウスポー。両左腕ともに球速は120キロ前後だが、特徴を活かしたピッチングで打者のタイミングを外してゲームを作っていく。先発の笹木は「変化球をコーナーへ投げ分けてゲームを作っていく」と話せば、リリーフの大谷は「いつでも投げられる準備をしてチームを勝たせるピッチングを目指す」と気持ちを込める。

■野球が好きな選手たち  

秋季都大会一次予選は決して簡単なブロックではなかった。農大一は、予選1回戦で葛西工、予選決勝で淵江に勝利して都大会出場を決めた。本戦1回戦の相手は、同じ世田谷に拠点を置く日大桜丘。戦力拮抗のゲームとなった中で、序盤は乱打戦となり、4回を終えて6対6。後半は投手戦となったが農大一は8回に1点を奪って接戦を7対6で制した。続く2回戦桜美林戦では0対7で屈したが、秋32強の戦果を得た。ベスト32進出の原動力となったのは秋季都大会通算打率6割8分をマークした1番・大森駿也(2年=外野手)。四死球を含めると8割近い出塁率で攻撃のスイッチ役となった。大森は「練習の成果が結果につながった。冬はフィジカルを強化して、飛距離を伸ばしていきたい」と冬へ向かう。畑主将は「秋ベスト32は嬉しいが、チームにはまだ課題が多い。冬に課題と向き合って、春、夏にベスト16以上の結果を残したい」と力を込める。野球が好きな選手たちは、自分たちの力を信じて、冬を越えていく。

 

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