新指揮官のもと新たなスタート。2019年夏3回戦で二松学舎大附を撃破
新生・修徳が2019年夏の3回戦で、二松学舎大附を撃破しベスト8へ進出した。昨年冬から荒井高志新監督が指揮を執るチームは、新たな歴史を作ろうとしている。
■ エース結城のベストピッチ
ノーシードで夏大会を迎えた修徳は、2連覇中の優勝候補筆頭・シード校の二松学舎大附と3回戦でぶつかることになった。
先を見たわけではないが、勝ち上がれば倒さなければならない難敵。荒井監督は、二松学舎大附との戦力差を受け止めた上でトーナメントをプランニングしていった。
「二松学舎さんの力を100とすれば、うちは60。自分たちがすべての力を発揮した上で、相手の力を出させないように戦わなければ勝機はない。さらに相手は初戦、チャンスはある」(荒井監督)。
3回戦から逆算して、エース結城貞斗(3年)をいつ登板させるか。
山本将太郎コーチとともに対策を練った指揮官は、TV中継や日程などを熟考した上で、初戦・淵江戦で結城をマウンドに送った。
2回戦をスキップし中5日の万全な状態で二松学舎大附戦へ臨んだ主戦は、大一番で最高のピッチングをみせた。
■ ラッキーボーイの出現
ラッキーボーイは2年生のスイッチヒッター佐野空(外野手)だった。
スコアレスで迎えた3回裏、相手の左腕エース海老原凪(3年)と対峙した佐野は、迷わずに右打席へ向かう。
「来たボールを思い切り叩くだけ」(佐野)。ストレートを強振すると、鋭く上がった打球はレフトスタンドへ飛び込む、先制2ランとなった。
修徳は4回に1点を返されたものの、落ち着いた戦いでスコアボードに「0」を並べていく。
ポイントはゲーム中盤2死2塁のピンチだった。
伏線は、試合前のシートノック。外野ノックを受けたセンター佐野が、「レーザービーム」のようなホーム返球。
そのシーンに、スタンドがどよめいたという。
エース結城は、次の打者にセンター前に打ち返され失点を覚悟したが、2塁ランナーは3塁でストップ。
結城は後続を断ち、結果的にその走塁が勝負を分けた。
指揮官は「(勝つための)条件が多く揃っていた」と振り返る。
■ 5年連続ベスト8も確かな手応え
関門を越えた修徳が目指すは、2013年以来の甲子園。
勢いづいたチームは4回戦錦城学園戦で逆転勝利、5回戦大森学園戦9回2死からミラクルな逆転サヨナラ勝利、ベスト8へたどり着いた。
チームは4年連続8強、準々決勝が壁になっていた。
準々決勝・上野学園戦、選手たちは歴史を上書きすべくゲームへ向かったが、1対3で惜敗。進撃はまたしてもベスト8で止まった。
指揮官は「準々決勝で勝つことができなかったが、3年生たちはチームに大きな力を残してくれた。
これが修徳の新しい出発点になる」と称えた。
新チームは、準々決勝で負けた当日に始動。
佐野をはじめ、唐津健太(2年=投手)、長柄壮佑(2年=投手)、岡崎秀馬(2年=内野手)、鈴木啓太(2年=内野手)ら、夏の戦力が残るチームは大きな可能性を秘める。
修徳は、伝統を継承しながら次なる一歩を踏み出す。
修徳高等学校
【学校紹介】
住 所:東京都葛飾区青戸8-10-1
創 立:1904年
甲子園:8回(春3回・夏5回)
春夏8度の甲子園出場を誇る伝統校。野球部OBに高橋尚成(元巨人など)。サッカー部OBに北澤豪(元日本代表)。