【豊多摩 高校野球部】「変革、成果、その先へ」

意識改革で初のベスト8。名将の下で再び神宮を目指す

 

今夏、西東京で都立勢唯一の8強入りを果たした豊多摩。

2016年春からチームを率いる平岩了監督の下、対話を重ねるチーム改革で大きな成果を手にした。

(取材・三和直樹)

 

■ 快進撃で創部初のベスト8進出

今夏の目標は「神宮で試合をすること」だった。初戦の相手は、毎年4月に練習試合を行い、これまで一度も勝ったことがなかった専大付。

2回表に先制されたが、すぐさま同点、さらに逆転に成功すると、マウンド上では最初に「神宮」の言葉を口にした宮下昌士(3年)が力投を続けた。

そして迎えた最終回、2点リードの2死2、3塁から一、二塁間を破られたが、同点の2塁走者をライトからの好返球で本塁タッチアウト。

劇的な結末で勝利した。

 

この勝利で勢いに乗ると、続く3回戦を3点差、4回戦を2点差で勝ち上がり、5回戦では練馬を相手に延長14回、5対4のサヨナラ勝ち。

「運が良かったと思いますが、それだけじゃない。運を掴めるかどうかが大事ですし、結果としてベスト8という目標を達成できて良かった」と平岩監督。

神宮での創価戦は0対7の完敗を喫したが、生徒たちは創部初のベスト8進出という勲章を手に、堂々と、胸を張って球場を後にした。

 

■ 語り合い、本音を知ること

快進撃の裏にはチーム内で続けた“対話”があった。

都立の雄・城東から2016年春に豊多摩に赴任した平岩監督。

「意識の違いを感じた」と生徒たちとの間に大きなズレがあった中、メンタルトレーナーの指導の下で導入したのが『質問ミーティング』だった。

 

「誰が何を考えているのかを全員が共有すること。

僕自身も生徒たちの本音を知ることができたのは大きかった」と平岩監督。部員全員が一つの教室に集まり、テーマを決めて語り合う。仲間の考えを知り、自分の考えを整理する。

また、実際に言葉として口に出すことで理解が深まり、思いも強くなった。

その中で出た「神宮でプレーしたい」という言葉が、チーム全体の目標となり、秋、春と初戦敗退で自信を失っていたチームを奮い立たせた。

 

一致団結した今夏の戦いを振り返り、「技術的、戦術的なことは昔から変わらない、でも内面的な部分でもっと変えることができる」と平岩監督は語る。

そして引退した3年生たちに「本当によく頑張ってくれた。

『やればできる』ということを自分の実体験として学んだことは大きいですし、これからの人生の中でも生かして行ってもらいたい」とエールを送る。

 

■ 掴んだ自信は新チームへ

新チームはすでに始動している。2年生12人、1年生14人に、マネージャーが2年生2人、1年生3人。

夏の準々決勝で創価に敗れた次の日から練習を開始しているが、平岩監督は「練習中からムードがある。

まだ技術が付いて来ていない部分があるが、気持ちが全然違う。

ベスト8という先輩たちの置き土産が自信に繋がっている」と意識の変化を強く感じている。

 

秋のブロック予選・初戦(9月14日)は、強敵・佼成学園に決まった。

「去年までなら『えぇ~!』っていうネガティブなところから入ったと思いますが、今年は『よし、行くぞ!』という雰囲気に最初からなれた。自信というのは本当に大きい」と平岩監督。

新キャプテンとなった早川遼河(2年=外野手)は「最終的な目標は夏ベスト4。先輩たちを超えたい」と力強い。

都立の飽くなき挑戦は続く。都立豊多摩が令和最初の夏に手にした成果は、必ず次への糧になる。

平岩監督の下、再び神宮球場に足を踏み入れた時、彼らはまた一段と大きく成長した姿になっているはずだ。


東京都立豊多摩高等学校

【学校紹介】

住 所:東京都杉並区成田西2-6-18

創 立:1940年

甲子園:なし

昭和15年に東京府立第十三中学校として設立され、今年で創立77年目を迎える伝統校。自主・自律の精神を柱とし、自由な校風で知られる。2007年より「進学指導特別推進校」に指定。卒業生には谷川俊太郎、宮崎駿など各分野で活躍する著名人が多数いる。

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