【練馬 野球部】「ジャイアントキリング」

都立強豪・日野を撃破しベスト16進出。6年越しの「チーム改革」で大きな成果

この夏、練馬が旋風を起こした。

4回戦で都立強豪・日野に競り勝ちベスト16へ進出したのだ。西東京の都立勢力図を塗り替える快挙となった。

 

練馬は、学校と地域の応援を力に変えて努力を続けてきた。

歴代監督の系譜を引き継ぎ2014年から指揮を執る坂本瑞樹前監督は、選手の個性を最大限に生かす野球を追求。

選手とともに新たなスタートを切った。2017年夏は4回戦へ進出し、佼成学園相手に互角の戦いを演じていった。

2対2で延長戦に入ると10回表に3点を奪い5対2とし金星まであと3アウトとなった。

しかし、その裏に追いつかれると11回に痛恨のサヨナラ負け。

金星を逃す結果になってしまった。

坂本前監督は「良い勝負ではなく、勝ち切ることの大切さを痛感した」と2年前の夏を振り返る。

 

2019年夏、永山、駒場学園を下して4回戦に進出した練馬は、都立の星・日野と対戦した。

日野は3回戦で、選抜出場のシード校・国士舘を撃破し自信をつけていた。しかし、練馬は「闘争心」を前面に出して勇敢に立ち向かった。

絶対エース吉田隼(3年)が左右の幅を使った粘りのピッチングにより最少失点で切り抜けて、勝利をうかがった。

1対2で迎えた6回二死に好機が巡ってきた。

二死から出塁すると、根本将利(2年=外野手)のタイムリー、中村優希(3年)の走者一掃二塁打で一挙4点を奪い、5対2と逆転に成功する。坂本前監督は「2アウトから攻めたことで相手の投手交代が難しかったのでは」と話す。

 

「5対2」のスコアは、2年前の佼成学園と同じ。

実績のあるチームはゲーム終盤に底力を発揮する傾向がある。

一つのミスが命取りになるケースもある。

練馬が金星をつかむには、残り3イニングで9つのアウトを奪う必要があった。

練馬は、エース吉田を中心として決死の戦いをみせて、アウトを一つひとつ奪っていった。

「エースの吉田さんの制球が良く、守っていて負ける気がしなかった」(根本)。

雑草軍団は、そのまま日野を抑え込み、堂々の勝利。

その金星は、西東京に轟いた。練馬は5回戦でも豊多摩相手に延長戦へ持ち込む好ゲームを展開、最終的には14回タイブレークで敗れたが、ベスト16という結果を残して夏を終えた。

 

夏を終えたチームは、坂本前監督から吉田憲司監督(前助監督)へ采配のバトンを渡した。

夏の主力だった根本、辻本陵太(2年=外野手)の2選手を軸に、新チームは始動している。

夏のチームは3年生主体だったため、新チームはゼロからのスタートだが、選手の意欲は高い。

2年生12人、1年生13人の選手たちは、学年を越えて切磋琢磨、グラウンドには心地よい声が響いている。

吉田監督は「坂本先生が築き上げた打撃力を継承して、そこに守備の緻密さを加えることでベスト16以上に行けるチームを目指したい」と、練馬らしさを引き継いでいく。


東京都立練馬高等学校

【学校紹介】

住 所:東京都練馬区春日町4-28-25

創 立:1964年

甲子園:なし

「練高(ねりたか)」の愛称で親しまれる都立校。規律正しい校風を持ち、落ち着いた環境の中で学習指導やキャリア教育が行われている。野球部、女子バレー部など部活動が盛んで校内は活気にあふれている。

 

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