2年連続で東東京大会ベスト8
終盤の逆転劇は「文京劇場」

2年連続で東東京大会ベスト8となっている都立伝統校・文京。先輩たちのタスキを受けた今夏の選手たちは、神宮での勝利を目指して突き進む。

■終盤にドラマの文京野球

東東京の夏は、文京の存在が欠かせない。2022年夏は初戦となった2回戦で岩倉に逆転勝利して勢いに乗ると、5回戦では葛飾野にサヨナラ勝利してベスト8へ進出してみせた。文京の勢いは、翌夏にも継承された。4回戦で日体大荏原に延長12回で4対3のサヨナラ勝利、5回戦では立志舎に2対0の完封リレーで勝ち切って2年連続ベスト8となった。都立で2年連続8強以上は東西東京合わせて文京のみ。私学強豪に必死に食らいついて終盤で勝ち切る戦いは、都立野球の醍醐味。祭りさながらベンチを盛り上げて勢いをつかんでいく「文京劇場」には、大きな魅力が詰まっている。

■エース水野と主砲・谷水が軸

今年のチームの軸となるのは、2年連続8強進出の原動力となったエース水野耀喜(3年)。左右の幅を有効に使って130キロ中盤のストレート、ブレーキのきいた変化球を投げ込んでいく。3度目の夏へ向かう水野は「2年連続ベスト8の結果には満足していない。最後の夏は、ベスト4以上、そして甲子園出場を狙っていきたい」と決戦を待つ。打撃陣は、ムードメーカー越野悠大(2年=内野手)、主砲・谷水琉穏(3年=捕手)らが勝負強さを発揮。神宮で結果を残すべくチャンスを待つ。主砲・谷水は「今年のチームの課題は打撃。チャンスで得点に絡むバッティングをみせてチームを勢いづけたい」とフルスイングを誓う。

■30人のルーキー加入でチーム底上げ

今春は、30人を超える1年生たちが高倍率の入試を突破して文京の門を叩いている。学年の枠を越えたレギュラー争いは熾烈。夏が近づくにつれてチームは活気付く。「チームとして一つになって夏へ向かっていく」(長澤勇吾主将)。2001年に城東を指揮して甲子園出場を成し遂げている名将・梨本浩司監督は「昔と比較して甲子園への道は険しいがチームの力を一つにして、こじ開けていきたい。過去2年、選手たちは一戦一戦を勝ち抜くごとに強くなっていった。チャンスは必ずある」と語る。都立の雄は、甲子園への道を自分たちの意志と力で切り拓いていく。開拓使・文京の熱い夏が始まろうとしている。

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