
昨秋コールド負けから始まったチーム
夏の決勝まで戦い抜き成長示す
第107回高等学校野球選手権静岡大会決勝で名門・静岡が準優勝に終わった。(取材・栗山司)
エース・吉田の矜持
4年ぶりの甲子園出場を目指した静岡。大きな山となったのは日大三島との4回戦だった。相手はプロ注目の小川秋月を擁し、優勝候補にも挙げられていた。
7回まで2点のリードを許す展開。それでも、8回に6番・石垣大輝(3年=捕手)、途中出場の寺田琳太郎(3年=外野手)のタイムリーなどで4点を挙げて逆転。エースの吉田遥孔(3年)は10四死球を許す苦しい投球ながら「気持ちでは負けないようにしました」と最後まで魂を込めて投げ込んだ。この接戦を制したことでチームに勢いが生まれる。
静岡商との伝統校対決となった準々決勝は大会初先発の寺田の2打点の活躍などで勝利。そして準決勝は吉田が意地を見せる。前半は制球がばらつくも、5回終了時のクーリングタイム中に池田新之介監督とフォームの修正点を確認。すると、6回以降は相手打線に1本も安打を許さず、完封を飾った。
昨秋コールド負けからの逆襲
この1年間、静岡の道のりは決して順風満帆ではなかった。秋の県大会は初戦で常葉大菊川にコールド負け。春も県大会3回戦で浜松商に敗れた。「苦しい思いをみんなでしてきた時期もあったが、色々な課題を乗り越えて、着実に、一つひとつ階段を登ってレベルアップしてきた。そういう思いを感じさせるチームになった」(池田監督)
昨年秋から掲げてきたスローガンは「繋ぐ」。主将の石橋咲人(3年=内野手)を中心に甲子園にたどり着けなかった先輩の思いや、仲間との絆を大切にしてチーム力を高めた。
昨年秋から掲げてきたスローガンは「繋ぐ」。主将の石橋咲人(3年=内野手)を中心に甲子園にたどり着けなかった先輩の思いや、仲間との絆を大切にしてチーム力を高めた。
甲子園の夢は後輩に
迎えた聖隷クリストファーとの決勝戦。初回に2点を献上する。0対3となった4回に5番・唐國晃輔(3年=外野手)のピッチャー強襲タイムリーで1点を返すも、その後は相手の髙部陸に封じられた。
試合後、池田監督は「甲子園でプレーさせてあげたかった」と語りながら、試合を重ねるごとに逞しく成長した教え子たちに誇らしげな視線を送った。「悪い状態でも冷静に投げました」という吉田の悔し涙は止まらなかった。「来年のチームは、きっと今年以上に強くなる。もう一度聖隷と決勝で戦って、絶対に倒してほしいです」と後輩たちへ夢の続きを託した。
迎えた聖隷クリストファーとの決勝戦。初回に2点を献上する。0対3となった4回に5番唐國晃輔(3年=外野手)のピッチャー強襲タイムリーで1点を返すも、その後は相手の髙部陸に封じられた。
試合後、池田監督は「甲子園でプレーさせてあげたかった」と語りながら、試合を重ねるごとに逞しく成長した教え子たちに誇らしげな視線を送った。「悪い状態でも冷静に投げました」という吉田の悔し涙は止まらなかった。「来年のチームは、きっと今年以上に強くなる。もう一度聖隷と決勝で戦って、絶対に倒してほしいです」と後輩たちへ夢の続きを託した。