チーム一丸でつかんだベスト8進出
ニュー世田谷学園の新たな歴史
1993年選抜甲子園出場の実績を持つ世田谷学園がベスト8へ進出した。
準々決勝では、創価に敗れたものの、この夏の結果は、次世代への希望となった。
■近年、実力を伸ばす超進学校
近年、実力をメキメキとつけている。
今夏は、3回戦でシード日本学園、4回戦で啓明学園を接戦で下して、ベスト8へ進出した。
1993年選抜甲子園出場実績を持つ名門だが、その後、進学実績が著しく伸びた経緯もあり甲子園とは縁がなかったが、近年は文武両道を標榜する選手たちが集い、再び力を付けつつある。
成瀬智監督はグラウンド横の畑で野菜を育て、手作りカレーや肉じゃがなどを振る舞うことで選手たちはフィジカルアップ。
限られた練習環境ながらも選手の自主性を重視する指導によって、内なる力を伸ばしてきた。
2020年夏のベスト8は、新たなスタイルの中での一つの成果だった。
■夏3年連続で創価と対戦
準々決勝の相手は、創価だった。
奇しくも過去2年の夏に敗れた因縁の相手。
世田谷学園の選手たちは、創価の前に敗れた先輩たちの思いも背負って、グラウンドに立った。
世田谷学園の先発は奥田世蓮。
3、4回戦の熱投による疲労はもちろんあったが、「うちには奥田しかいない」(成瀬監督)と、一蓮托生で送り出した。
ポイントは初回だった。
世田谷学園は1回表に3失点したが、その裏に先頭打者・秋山颯士朗の2塁打でチャンスを作ったものの、好機を生かせずに得点が奪えなかった。
流れを引き戻せなかったチームは3回、5回にもそれぞれ3失点し点差を広げられる。
意地をみせたのは5回。
森山幹大の2塁打を皮切りに、濱田雄太、代打・平林亮泰とつなぐ3連打で1点を奪い、さらにランナーを残した。
追加点が奪えれば展開は変わっていたはずだが、創価の好投手・森畑侑大に後続が抑えられて、1点に留まった。
世田谷学園は6回にも3点を奪われて、1対12の6回コールド。
またしても創価の前に屈する結果となった。
■もう一度、甲子園へ
世田谷学園は、初回と5回の好機でランナーを効果的に返せなかったことが響いた。
点差は開いたが、勝負の分水嶺はわずかの差だった。
八木達哉主将は「創価には2年連続で負けていたので、自分たちの代でなんとかしたかったが、チャンスで打てなかった。コロナで自主トレ期間が続いたが、チームの絆は深まった。後輩たちには自分たち以上の結果を残してほしい」と願いを託した。
成瀬監督は「結果的には完敗だった。進学重視の学校環境の中でチームはまた強くなっている。今回のベスト8を励みにして、ニュー世田谷学園をみせたい」と前を向いた。
世田谷学園はこの夏の敗戦を糧に、またたくましくなっていく。
2度目の甲子園は決して夢物語ではない。