オンラインイベント【プレゼン甲子園 開催!】

プレゼン甲子園 ZOOM 開催

勝敗よりも大切なコト
高校野球部の選手、マネージャーが オンラインで「学び」を共有

都内からは桜丘、新宿、江戸川の3校がエントリー

コロナ禍の高校野球部員たちが自分たちの「活動」「思い」「学び」やコロナ禍での「取り組み」をオンラインで発表する「プレゼン甲子園」が2月7日に開催された。インターネット会議システム「ZOOM」を利用したイベントで東京、神奈川、千葉、埼玉の8校が参加。選手、マネージャーたちがそれぞれのチームでの活動を報告し「勝敗」よりも大切なコトを学んだ。

参加8高校 全国300人が視聴  

都内から参加したのは、桜丘、新宿、江戸川の3校。主催は、令和スタイルのチームづくりを提唱する「野球まなびラボ(松井克典代表)」と、タブレットなどを活用しICTによる新しい野球部のカタチを目指す桜丘野球部(中野優監督)。東京など首都圏に緊急事態宣言が発令され練習活動が制限されている中、球児同士の学びの場が設定された。  

司会・運営は同校野球部の女子マネージャーが担当し、オンラインでの甲子園が“開幕”した。ZOOMへの参加人数は、北海道から沖縄まで全国約300人。オンラインでつながった参加者たちが各チームのプレゼンを視聴し、質問したり、「いいね!」を送ったりした。桜丘・中野監督は「コロナ禍で練習が限られている中で、球児たちが行動できる場を提供したかった。プレゼン甲子園がこれからの高校野球を考えるきっかけになればいいと思います」と話した。

松井代表は「高校野球は結果がすべてではありません。なぜ野球をやっているのか、何を目的にやっているのか見つめ直すことで野球部の活動の意味を学べる」と語った。オンラインイベントには、高校野球の“未来”が見えていた。

【桜丘】常識に捉われない思考で野球を楽しむ  

桜丘は2004年に女子校から男女共学へ移行し、野球部が誕生した。普段はテニスコート2面ほどのスペースで練習しているチームは「勝つために楽しさを犠牲にしない」をテーマに、楽しみながら野球に向き合う。

猛暑の夏は、長ズボンのユニフォームではなく半袖、短パンでトレーニング。常識に捉われない思考で野球を楽しむ。練習は、選手が時間を自由に決めるフレキシブルタイムを採用。好きな時間に、自分の好きな練習を行う。学校が生徒1人に1台のタブレットを支給しているため、それを活用して、それぞれのメニューを共有している。また、スイングやピッチングなどを動画撮影して課題克服に励む。

大道春紀主将は「2年半という限られた時間を効率的に使っていく。僕たちは本気で野球を楽しんでいます」と笑顔をみせた。

【新宿】コロナ禍を乗り越え強くなる  

JR新宿駅から徒歩10分の場所にある都立伝統校・新宿は、「全員野球・全力野球・全国野球」をスローガンに活動する。勉強も部活動も全力投球。「文武両道」ではなく「文武同道」として、野球と勉強の相互成長へつなげていく。普段は午後6時完全下校で練習時間は他校と比較して短いが、1日24時間は同じ。学校外の時間を有効活用して補っていく。

練習以外では小学生への野球普及活動を行っているほか、2019年のラグビーW杯時期には、ユニフォーム姿で新宿駅へ行き、「ウェルカム新宿」活動として外国人旅行客サポートを実施した。  

校舎は都心にあるため、コロナ禍の緊急事態宣言発令後はオンライン授業が続く。チームでは、発令前の練習予定を共有し、各自の自主練によって力を蓄える。選手たちは「コロナに屈するのではなく、この状態でも成長できることを示したい。コロナ禍を乗り越えて強くなりたい」と話す。オンライントレーニングや勉強を実施、心を一つに春を待つ。

田久保裕之監督は「いま練習はできていませんが、僕らは毎日学んでいます。部活動再開の翌日から試合ができる状況だと思います」と選手に信頼を寄せる。新宿は、コロナに負けない。

【江戸川】「3S」「270」「SJB」で目指す甲子園  

80年の歴史を誇る下町伝統校・都立江戸川は、部員27人が目標に向かって突き進んでいる。

チームには「3S」「270」と呼ばれる活動がある。「3S」は整理・整頓・清掃の頭文字Sを取ったもの。道具の整理整頓を中心に環境整備を行っている。「270」は、フェアゾーンの「90度」ではなくそれ以外の270度を意識しようというもの。ファールゾーン、バックネット裏などの整備も怠らない。これらの活動は、練習や試合を効率的に進めるための準備。選手は「環境整備を行うことで心を整えることができます」と効果を話す。試合では「SJB」が基本となる。セルフジャッジベースボールの略称で、監督のサインではなく選手たちが自ら考えてプレーしていく野球を意味する。江戸川では新チーム始動から「SJB」を採用し、指示待ち野球からの脱却で、甲子園を目指す。また試合前には、試合で起こりうるリスクを選手たちで洗い出し、準備を進めていく。

コロナ自粛期間はオンラインでミーティング。最後はみんなで「いいね!」ポーズを決めて、モチベーションを高めているという。

園山蔵人監督は「指導者として意識することは、サインではなく選手同士のコミュニケーションの“橋かけ”。選手たちの力を引き出していきたいと思います」と話す。江戸川は、粋な野球部を表現していく。

 

 

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