【春季高校野球群馬県大会レポート 農大二】

「準優勝復活の狼煙」
12年ぶりの関東大会へ  準々決勝で健大高崎撃破

農大二が春季関東高校野球大会群馬県予選で快進撃をみせた。甲子園出場計8度の伝統校はコロナ禍でじっくりと力を蓄えていた。

■準々決勝で「勝ち名乗り」

2009年夏以来甲子園から遠ざかるチームは2020年のチームから佐々木武監督が指揮を執る。秋季大会は2回戦で樹徳に敗れたが、その悔しさを糧にチームは生まれ変わった。もともと選手の力は十分にあるチーム。あとは、チームとして戦えるかどうかがカギだった。春季大会1回戦で沼田を撃破し順調なスタートを切ると、2回戦で前橋南に勝利。3回戦では高崎商大附を10対6で退けた。農大二の存在を知らしめたのは、準々決勝・健大高崎戦だった。健大高崎は昨秋の県大会で優勝し関東大会も制覇。今春の選抜に出場した「無敵艦隊」。

下馬評は健大高崎優位だったが、勝ち名乗りを上げたのは農大二だった。

■左腕エース黒岩が快投

準々決勝・健大高崎戦の先発は、背番号10の2年生左腕・黒岩光崇。最速129キロのストレートと緩急をつけたカーブを駆使して、選抜帰りの健大高崎打線を幻惑していく。健大高崎打線はスタメン合計230本塁打の強力打線だったが、黒岩は恐れることなく強気なピッチングに徹して、一つひとつアウトを積み重ねていく。ゲームは7回まで0対0のスコアで進んでいく緊迫した展開。農大二は8回に相手のボークで1点を先取。9回には無死2・3塁のピンチを迎えたが、黒岩がそのピンチをしのいで1対0の勝利を収めた。

■12年ぶりの関東大会へ

健大高崎を下して準決勝に進出したチームは、館林を8対0のコールドで下して12年ぶりの関東大会出場を決めた。館林戦でも黒岩が好投して、チームはさらなる手応えをつかんだ。黒岩は「スピードではなく、緩急を使ってコースに投げ分けることを意識している」と自身のピッチングを話す。連戦となった決勝戦では黒岩は登板せず、チームは関東学園大附に敗れたが堂々の準優勝。佐々木監督は「力のないチームが、必死な戦いで勝ち上がることができた。学校や地域の応援に支えられているチームなので結果で恩返ししていきたい」と謙虚に語った。

春の進撃は、復活の狼煙(のろし)となることだろう。

 

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