2年ぶりの甲子園へ勝利の方程式
「甲子園経験」+「新世代」=強い久我山
2019年に西東京大会を制して28年ぶりの甲子園出場を果たした国学院久我山。
甲子園の景色を知る選手たちは、2年ぶりの聖地を目指す。
2021年1月号掲載
■甲子園の景色を知る選手たち
もう一度あの場所へ。2019年夏は、熱かった。
エース高下耀介、主砲・宮崎恭輔を軸にしたチームはシード校として3回戦から激闘の舞台に立つと、快進撃を演じていく。準々決勝で早稲田実、準決勝で東海大菅生を撃破すると、決勝で創価を下して、28年ぶりの甲子園出場を決めた。そして甲子園で1勝を挙げて、校歌を高らかに歌い上げてみせた。
いまの2年たちは、内山凛(2年=外野手)が1年生ながらメンバー入り、黒﨑将太主将(2年=捕手)、饗庭知希(2年)らが甲子園練習に参加した。あれから1年半、主将となった黒﨑は「甲子園の雰囲気は独特で、漫画のような世界だった」と振り返る。甲子園のグラウンドレベルの風景を知る選手たちは、そのバトンを後輩たちに伝えるべく、2年ぶりの聖地を狙っていく。
■先輩たちが残した財産
2019年夏に28年ぶりの甲子園出場、そして初戦勝利という快挙を果たした尾崎直輝監督は、選手たちの変化を確かに感じている。「やらされる練習」ではなく「自分たちで考えた練習」で聖地にたどり着いたことは、大きな意味を持つ。長年、遠ざかっていた甲子園が現実となったことで、グラウンドにはさらなる活気が生まれ、選手たちの自主性を向上させているという。
尾崎監督は「2018年までは『甲子園』という言葉が一人歩きしていたが、実際に甲子園の土を踏んだことで『自分たちも行けるんだ』という自信が生まれた。選手たちはこれまで以上に考えて、これまで以上に練習するようになった。これは甲子園に行った先輩たちが残してくれた財産です」と話す。
指揮官は、【甲子園経験+新世代=強い久我山】という方程式を立てて、再び聖地を目指す。
■投打の戦力十分、期待の1年生も加入
今年も甲子園を狙える戦力は揃っている。
エース高橋風太(2年)と黒﨑主将のバッテリー力は都屈指。シャープな打撃をみせる饗庭、2019年甲子園でメンバー入りした内山も力を伸ばす。クリーンアップは、榎本佑太朗(2年=外野手)、渡辺嶺(2年=投手・外野手)ら長距離打者が固める。さらに、甲子園出場をみて久我山の門を叩いたネクストジェネレーション・下川邊隼人(1年=内野手)、上田太陽(1年=内野手)らルーキーもレギュラーポジションを狙う。
秋季大会は、1回戦・城北で7回表を終わり、16対4と大量リードしたが、油断から終盤に逆転を許して、まさかの逆転負け。屈辱の敗戦は、チームの良い教訓になった。
黒﨑主将は「秋季大会は野球の怖さを知った。過信せずに、謙虚な姿勢で一戦一戦にチャレンジャーとして挑む。その先に甲子園がある」と引き締める。
誇り高き国学院久我山の選手たちは甲子園の記憶を胸に、再び旋風を起こす。