【川崎北】 「復活の胎動」 #川崎北

リーダー制度で選手たちの意識改革
今秋の惜敗を糧に春・夏へ飛躍

 激戦・神奈川大会で私学と真っ向勝負し多くの実績を残してきた川崎北。公立のプライドを宿すチームは復活を懸けて鍛錬を積む。

■伝統校「川北」、復活の気配  

1990年夏ベスト4、2008年夏ベスト8など県立屈指の戦績を残してきた川崎北。最盛期は80人以上の部員が在籍したが、川村太志監督が着任した2019年4月の入部者はわずかに6人(選手は4人)。栄光にあぐらをかいていれば、ジリ貧になってしまう。指揮官、部長らは地域中学校などに足繁く通い、チーム強化への理解を求めていった。その結果、2020年には11人(引退した3年生)、2021年には13人(現2年生)、今春には15人が入部。部員数が増えてきたことで、再び、上を目指せるチーム土台が出来上がってきた。伝統校「川北」には、復活の気配が漂っている。

■グループ別リーダー制度を採用  

2021年度の3年生は6人だけだったがそれぞれが自立していたため、川村監督はグループ別リーダー制度を採用。打撃、投手、守備などのグループを作り、主任、リーダーの役職を設けた。指揮官から練習の基本指示を受けたリーダーたちは、主任たちと話し合って、具体的な練習メニューを決定し、トレーニングに落とし込んでいく。川村監督は「選手たちは素直で、こちらの指示どおりに練習してくれるが、それだけでは勝てない。やらされている練習ではなく、自分たちで考えることで、生徒たちは成長していく」と選手を見守る。チーム始動当初は、未熟だった選手たちだったが、1カ月で大きく成長していった。秋の地区予選は、桐蔭学園に屈したものの、岸根、菅に勝利して2位で予選突破。秋季大会1回戦で海老名と対戦した。

■時代に即したチームマネジメント  

海老名戦では、エース小野沢純主将(2年=投手)が立ち上がりから好投をみせて失点を許さない展開。攻撃では、初回から好機を作るなど、再三にわたりスコアリングポジションにランナーを送った。二死3塁のシーンは計5回。しかし、あと一本が出ずにゲームは0対0のまま延長戦へ突入。延長13回からのタイブレークも視野に入った11回裏二死走者なしから3連打を浴びて、0対1のサヨナラ負けとなった。エース小野沢主将は「守備に支えてもらいながら延長11回まで投げることができたが、最後に甘さが出てしまった」と悔やんだ。延長11回の惜敗。主砲・叶内陸翔(2年=外野手)は「好ゲームと言ってもらったが、良い試合では満足できない。勝てる試合だったので、あの悔しさを忘れずに冬のトレーニング、そして春、夏へ向かっていく」と巻き返しを誓う。川村監督は「秋の惜敗をどう力に変えていくか。チームの方向性を理解した上で、自分たちの色を出していってほしい」と話す。過去の方法は通用しない。川崎北は、時代に即したチームマネジメントで再び旋風を巻き起こしていく。

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