2002年に夏甲子園出場
個性あふれる選手たちが一丸
2002年に夏甲子園出場を果たした桐生市商。球都・桐生を舞台に力強いチームを作り上げている。個性あふれる選手を揃えて今夏へ挑む。
■夏に勝つための「虎の巻」
練習開始前に、キャプテンを中心に選手ミーティングが行われていた。手元のシートには、状況説明、求められるプレーが書かれていた。その資料を作っているのは、高橋正志監督。桐生第一コーチ時代には、福田治男監督(現利根商監督)とともに全国制覇を達成。2019年4月から桐生市商の指揮を執る。選手たちは資料を読み込んだあとに実戦練習を行い、グラウンドでのプレーに落とし込んでいく。チームのテーマは「徹底」。一つひとつのプレーにこだわり、細部まで徹底していくことを求める。高橋監督は「いまの選手たちは、自分たちで話し合って考えていったほうがスムーズなんです」と見守る。夏に勝つための「虎の巻」は、1回・無死走者なしから始まり、9回裏2死満塁などのシーンまで続いていく。夏を控えたチームだが、実戦練習は佳境を迎えている。
■夏のダークホースになる可能性
今年のチームは昨秋大会3回戦で前橋商に敗れた。今春は、1回戦で桐生工に勝利し2回戦へ駒を進めたが渋川に0対7で屈した。今春は、主力選手が負傷欠場となっていたこともあり結果を残せなかったが、夏に向けてチームは仕上がっている。1番の吉澤叶人(3年=内野手)は、走攻守揃った大型野手。2番の岡田裕詩(3年=外野手)は50メートル5.8秒の県屈指の俊足。強打に加えて、ゴロが転がればセーフになる可能性が高く、相手にとっては嫌な存在。4番の髙田航輝(2年=内野手)は勝負強いバッティングをみせる。芹澤琉維(3年)、須田遂也(2年)の投手陣も130キロ台後半のストレートを武器に、夏へ照準を合わせる。夏直前の練習試合では、強豪相手に好勝負を演じるなど大きな手応えをつかむ。酒井聡太主将(3年=内野手)は「秋、春に結果を残せなかったので意地をみせたい。練習で積み上げてきたものを徹底して、勝ち上がっていきたい」と話す。個性あふれる選手がチームプレーに徹する桐生市商は、夏のダークホースになる可能性を秘めている。この夏は、球都・桐生が熱く燃える。