春夏通算15度の甲子園出場を誇る名門
人間的成長なくして技術的進歩なし
春夏通算15度の甲子園出場を誇る桐生第一。タテジマのユニホームにプライドを宿す選手たちは、貪欲に甲子園を狙っていく。
■甲子園は射程距離にある
選抜6回、選手権9回の計15度の甲子園出場を誇る桐生第一。1999年夏には群馬県勢初の全国制覇を成し遂げている。チームは過去10年、2014、2016、2020年に選抜切符をつかみ取っている。2008年以来15年ぶりの夏甲子園を目指して鍛錬を積んでいく。チームは2018年秋からOBの今泉壮介監督が指揮。2019年秋の関東大会でベスト4入りして選抜出場権を獲得した(コロナ禍で中止、交流試合参加)。それ以降も県内強豪と張り合い、常に上位を維持。甲子園は射程距離にある。昨夏の主軸だった三塚琉生、北村流音は、昨秋のドラフト会議で巨人から育成指名を受けて、2選手同時にプロ野球の世界へ巣立っていった。
■最強の選手ではなく最高の選手になる
桐生第一のグラウンドには、チーム指標である「人間的成長なくして技術的進歩なし」の横断幕が掲げられている。プロ野球レジェンド故・野村克也氏の金言で、今泉監督が就任以来、大切にしてきた言葉だ。今季は、その横断幕の隣に「人間味溢れるチーム〜最弱から最高へ〜」という新横断幕が並んだ。2023年の選手たちが新チーム発足時にミーティングで決めた言葉だ。今年のチームは、昨季と比較すれば総合力は足りない。選手たちは、自分たちの弱さを受け入れた上で成長を誓う。「〜最弱から最高へ〜」。最強ではなく最高としたのは、最強の選手ではなく、最高の選手になるため。人間的成長が人間味溢れるチームへとつながり、最高のチームとなっていく。石塚快士主将(3年=内野手)は「野球だけではなく、野球以外の面でも成長して、過去最高の桐生第一にしたい」と、声でもチームを盛り上げる。
■個性あふれるポテンシャル集団
今年のチームも個性あふれる集団だ。背番号1をつけるのは、日系ブラジル人プレーヤーのドミンゴス・マルセロ・キヨシ(3年=投手・外野手)。最速132キロだが投手としての“伸びしろ”は十分。ドミンゴス・マルセロ・キヨシは夏に照準を合わせて調整を進めている。投手陣は大型左腕中村駿汰(3年)、河原井大智(3年)らが成長。さらに2年生投手陣も球威を上げている。チームの核は、佐藤礼恩(3年=内野手)、星野竜河(3年=捕手)。兄も桐生第一でプレーした彼らは中学生のときに、2020年夏の選抜代替試合を甲子園で観戦。ふたりは「僕たちが甲子園のタスキをつないでいかなければいけない」と夏の群馬頂点を狙う。今泉監督は「今年の選手たちはまだ力がないが、必死に努力できるチームで指導していておもしろさがある。こういう選手たちを甲子園へ連れていってあげたい」と情熱を注ぐ。夏大会まで4カ月、桐生第一はここから強くなる。