【厚木北】 「下克上」

今夏は3勝を挙げて4回戦へ進出
「昭和の野球」で目指す私学撃破

厚木北が着々と実力をたくわえている。今夏の神奈川大会で4回戦へ進出、新チームの秋も県大会出場を果たした。森山純一監督3シーズン目、飛躍の時を迎えている。

■グラウンドに芽吹く可能性

野球を本気で楽しんでいるチームだ。2011年春、2018年秋にベスト4へ進出した実績を持つ厚木北。コロナ禍や指導体制変更によって足踏みが続いていたが、チームには再び活気が生まれている。今夏は1回戦で伊勢原、2回戦で柏陽に勝利すると3回戦で藤沢清流を13対2で撃破し4回戦へ駒を進めた。4回戦はシード横浜商との対戦となった中で、最後まであきらめないプレーをみせたが1対8で屈した。ベスト16進出は逃したが、夏3勝を挙げてチームの進化を示した。藤沢清流戦では160センチの主軸・二瓶岳が3安打4打点の活躍。さらにエース森見愼一朗、山田蓮主将も実力を発揮。2年半の成長を夏の大舞台に刻んでみせた。

■「昭和の野球」で妥協なき練習

高校野球を取り巻く環境は近年大きく変わってきているが、厚木北が目指すのは「昭和の野球」だ。そこにブレはない。2021年秋から指揮を執る森山純一監督は、厚木西、平塚湘風を経て厚木北へ着任。提示したチームスローガンは「AKY」(A=厚木北野球部が、K=神奈川/甲子園で、Y=優勝する)。チームの土台になっているのは「妥協なき練習」。選手たちは大きな声をあげながら泥だらけのユニホームで、森山監督のノックに食らいついていく。昨今の高校野球は大型選手が優遇される傾向もあるが、厚木北は小柄な選手も大歓迎。野球小僧たちが集まるチームは部員全員で切磋琢磨しながら鍛錬を積み、泥臭い戦いで「下克上」を狙っていく。森山監督は「時代が変わっても野球のルールや原点は変わりません。公立でも戦えることを証明したいと思います」と情熱を注ぎ込む。

■ガッツあふれる個性派集団の挑戦

新チームは、ガッツあふれる個性派集団だ。石橋徹主将(2年=内野手)を軸に、攻守のユーティリティ村田聖(2年=捕手)、ムードメーカーの主砲・鏡翔史(2年=内野手)、実戦派投手・坪井隼人(2年=投手)ら武器を持つ選手が揃う。山田咲綾マネージャー(2年)は「今年の2年生は野球に対して真っすぐに打ち込んでいます。これからの成長が楽しみです」と期待を寄せる。秋は予選を2位突破すると、県大会初戦で藤沢清流と対戦。1年生左腕鈴木皓大の熱投によって6対5で勝利を収めた。2回戦では鶴嶺に屈したが、春・夏への手応えはつかんだ。石橋主将は「機動力を活かした戦いで私学強豪を倒していきたい」とジャイアントキリングを誓う。森山監督3シーズン目、ホップ・ステップ・ジャンプで神奈川大会へ殴り込みをかける。厚木北の戦いは、自分たちの可能性へのチャレンジだ。

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