【東海大静岡翔洋】 「甲子園への道」

今夏はノーシードから県内強豪チームに勝利し準優勝
新しいスタイルで来夏こそ甲子園へ!

今夏準優勝の東海大静岡翔洋。勝利への執念を引き継ぐ現チームの特徴は「機動力」。前チームとはまた違ったスタイルに期待がかかる。(取材・栗山司)

■サポートメンバーに支えられ夏準V

森下倫明監督はあらためて3年生の頑張りを称える。2021年秋に就任後、実力に関係なく、部員全員が同じ練習を行うことでチーム力を上げてきた。ただ、今年の3年生に関しては夏前に「メンバーのためにサポートに回りたい」という選手が出てきたという。大会前、森下監督がベンチ入り選手を前にこう話した。「君たちが代表なんだ。サポートに回って『頑張ってもらいたい』という気持ちを汲んであげられるか。そこが大事なことなんだよ」   献身的なサポートに支えられながら一致団結したナインはノーシードから勝ち上がった。選抜大会出場の常葉大菊川(準々決勝)、前年度優勝の日大三島(準決勝)に勝利。決勝戦は敗れたものの、最後まで諦めない姿勢を印象付けた。「先輩たちの練習や取り組みを見てきたからこそ、自分たちはそこを超えて、もっとやらないといけないと思ってほしい」(森下監督)  あと一歩の甲子園へ。森下監督が「可能性がある」と期待する新チームの主将に指名したのは岸川和広(2年=内野手)だった。夏の大会は決勝戦でスタメン出場し、3安打を放っている。「経験を他の選手にも伝えてほしい」という思いからだった。岸川は「自分が引っ張って先輩たちが行けなかった甲子園に今度こそ行く」と意気込む。

■地味な基本動作を繰り返す

秋は県大会の3回戦で飛龍に敗退。5失点と要所でのミスが響いた。その反省のもと、秋から冬にかけ、守備の強化に取り組んでいる。  前述のように練習メニューは全員が同じ。1、2年生の部員数が計57人と大所帯のため、どうしてもノックを受ける球数は限られてしまう。補うためにどうするか。森下監督の提案で2人一組が5メートルほど離れ、一人が手でゴロを転がし、片方が捕球する基礎練習を繰り返している。「小学生でもできる練習だけど、これが一番上手くなる」と森下監督。形を作ることにこだわっている。遊撃手の岸川は「反復練習で、最初は足腰にきたりしてきつかったですけど、少しずつ動作が身についてきている」と、効果を実感している。

■ニュースタイルで来夏は必ず

守備以外もレベルアップしている。投手は140キロ右腕の甘田圭澄(2年)が君臨。課題だった2番手も、1年生を中心に台頭しつつある。一方の攻撃力は7試合計90安打を叩き出した夏のチームに比べて劣るが、機動力を使った野球を展開。チームナンバーワンの俊足・松下揮人(2年=外野手)や岸川を筆頭に足の速い選手が多いのも追い風となっている。守りからリズムを作り、1点ずつ積み重ねていくニュースタイルが浸透してきた「タテジマ軍団」。2004年夏以来となる甲子園に向けて牙を研ぐ。

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