【磐田西】 「下剋上」

伸びしろたっぷりの選手たちが大きく成長
県大会出場で変わるチームの下剋上に期待

今年は春、秋共に10年以上ぶりに県大会に出場した磐田西。勝つ喜びと負ける悔しさを存分に味わったチームは、さらなる飛躍を目指し、課題に向き合う。(取材・栗山司)

■パート練習で実力を高める

歴史の扉を開く2023年となった。春は13年ぶり、秋は14年ぶり。それぞれ県大会出場を果たした。  「人って、信じてやったら変わることができるんです」。そう熱く語るのが就任4年目の山口遼太監督だ。浜松工のコーチ、佐久間の監督を経て2020年に赴任。「磐田から甲子園に行こう」を合言葉に、少しずつ選手の意識を変えていった。  環境は決して恵まれているとは言えない。平日は他の部活との兼ね合いで、グラウンドを使用できるスペースが限られている。それを補うべく、山口監督が考えたのが4班に分かれたパート練習。バッテリー組、一塁手&三塁手組、二塁手&遊撃手組、外野組。各組のリーダーが、その日のテーマを決めて進めていく。取材日は山口監督が学校業務の関係でグラウンドに出る時間が遅くなったが、選手たち自身で考え動く姿があった。  約2時間のパート練習のあとは補食をとる。そして18時を過ぎてグラウンドの全面を使用できるようになると、山口監督がノックバットを持って実戦練習に入る。  チームの強みは伸び率だ。中学時代に目立った成績を残している選手はいないものの、高校入学後に体も技術も成長している。エース右腕・宮本彪之介(2年)の中学3年時の体重は40キロ。今は68キロとなり、比例するように球速も上がっている。「ウチを選んでくれた子たちだから、何とかしてあげたい」と話す山口監督の愛情が選手に伝わっている。

■冬場は三ヶ日でみかん狩りアルバイト

昨年12月には全員でみかん狩りのアルバイトに出向いた。山口監督が三ヶ日地区の農家を15軒ほど回って働き先を見つけてきた。計5日間。7時30分から16時30分まで黙々と作業した。  目的はウエイトトレーニングの器具の購入のため。ただ、それ以上に集中力を養う効果もあったという。主将の鈴木淳矢(2年=投手)が証言する。「バイトをやる中で、野球につながる何かを探しました。お金を貰え、集中する練習にもなり、やって良かったかなと思います」  その後、お世話になった農家の方々が試合の応援に来ることもあり、選手たちの大きな力になった。

■現場で判断できるチームへ

秋は予選を勝ち抜き、県大会の初戦で韮山を下した。しかし、続く駿河総合戦は1対2で敗退。上位進出を狙っていただけに、山口監督は「負けた日の夜は悔しくて眠れなかった」とこぼす。勝負は紙一重。「課題はかなり出た。一番は現場で判断できなかったこと」。監督の指示ではなく、選手たちがその場でいかに判断して動けるのか。鈴木も「冬の期間に正しい判断ができるようにしていきます」と力を込める。  スローガンに掲げる「下剋上」に向けて一歩ずつ前進を続けていく磐田西。ブレイクは間近だ。

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