【伊勢崎清明】 「決起」

2014年夏の決勝進出から10年目
情熱みなぎるチームのチャレンジ

2014年夏に準優勝の実績を持つ県立の星・伊勢崎清明が、今夏に3年ぶりのベスト8へ進出した。新チームの選手たちは、頂点を目指して突き進む。

■戦国・群馬で、再び旗上げ

伊勢崎清明は2012〜2014年に群馬大会を席巻した。2012年夏には選抜ベスト4の健大高崎を4回戦でコールド撃破しベスト8へ進出。2013年には3回戦で桐生第一に勝利。そして2014年には決勝へ初進出、健大高崎に0対1で惜敗したが甲子園まであと一歩に迫った。群馬の高校野球を盛り上げたチームは、あの夏から10年目を迎えようとしている。力を誇示する伊勢崎清明は今夏に進撃をみせて3年ぶりのベスト8へ進出。今秋に始動した新チームの士気もおのずと高まる。後藤貫汰主将(2年=投手)は「2014年に決勝へ進出したことは先輩たちから聞いている。自分たちの代でも結果を残していきたい」と話す。選手たちは戦国・群馬で、再び旗をあげる。

■虎視眈眈と飛躍のチャンスを待つ

2020年春から髙田繁監督が指揮を執る。太田高出身で大学卒業後に教員へ。嬬恋、桐生西での指導が評価されて、伊勢崎晴明のタクトを受けた。着任時にコロナ禍となる苦難のスタートとなったが、2020年夏の独自大会でベスト8進出。選手が成長する“土壌”を地道に整えて虎視眈眈と飛躍のチャンスを待ち、今夏に再び8強入りを果たした。テーマは「主体性」。指揮官は「すべてを生徒に預けるのではなく、走り出すためのいくつかのレールを準備した上で、次の道は生徒自身が決断してほしい」と日々のグラウンドに立つ。2014年からの9年間で、夏の県優勝は私学が8回(育英5回、健大高崎1回、樹徳1回、桐生一が1回=独自大会)、県立(前橋商)が1回。私学すう勢、野球人口減少が進む中で簡単なトライではないが、チャレンジする価値がある。

■利他の精神で守り勝つ

今季の伊勢崎晴明は、情熱みなぎるチームだ。エース兼4番の後藤主将を絶対軸に、個性あふれるプレーヤーが努力を惜しまない。打撃では、今泉京太郎(2年=外野手)がリードオフマンとしてスイッチを入れて、後藤主将、女屋光平(2年=捕手)らクリーンアップへつなげていく。守備では、ショートストッパー近藤琉一(2年)が堅実なプレーをみせる。秋大会は初戦で伊勢崎と対戦し劣勢となったが終盤まで粘り強く戦って13対10の逆転勝利。2回戦では投打が噛み合わずに館林に屈した。今泉が「初戦では粘り強い戦いができたが、2回戦では自分たちの野球ができなかった」と話せば、守備の要・近藤は「今季の晴明は守り勝つチーム。ノーエラーで失点を防いで接戦で勝ち切っていかなければいけない」と冬トレへ向かう。選手たちが意識するのは「利他の精神」。自分よりチームを優先して行動する姿勢を追求していく。伊勢崎晴明は、全員の力を結集して次なる扉を開いていく。

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