交流戦で国学院栃木に勝利
秋のシード権獲得は大きな一歩
秋季大会のシードを決める新チーム初公式戦「交流戦」で、栃木商が国学院栃木を下してシード権をつかんだ。
飛躍を誓うチームにとっては大きな一歩となった。
2020年10月号掲載
■最初の試合で私学強豪から金星
秋季大会のシード校を決める新チーム「交流戦」で番狂わせが起こった。
Aブロック決勝(2回戦)で栃木商が、国学院栃木を3対1で下してブロック優勝を果たしたのだ。
栃木商は2回に失点し1点ビハインドとなったが、その後は先発・長瀬和志主将(2年)が要所を締めるピッチングで追加点を許さない。
7回、栃木商は連打で無死1・3塁とすると、スクイズでまず同点。
その後は押し出しとワイルドピッチでさらに2点を加えた。
3対1と逆転したチームは、その後もリードを守り抜き、殊勲の勝利。
選手たちは、苦難の末につかんだ勝利の味を噛み締めた。
2015年から指揮を執る入江智宏監督は「国学院栃木さんに初めて勝つことができました。就任以来、打倒私学をずっと果たせず、毎回今度こそはと挑んできた中で、選手たちが本当によく戦ってくれました。まだ交流戦ですが、チームの大きな自信になります」と頷く。
■人数が少なくても勝てる
練習場には活気ある声が飛び交っていた。
しかし、部員数は1・2年生合わせて18人。
聞けば、国学院栃木戦の先発4人は1年生だったという。
この戦力で、多くの部員を抱える私学強豪・国学院栃木を下したのか。
グラウンドを見渡すと、キャッチボールをする選手に混ざって、ユニフォーム姿の入江監督がいた。
指揮官は「笑われてもいいから、選手と一緒になってやっていこうということです。
人数が少なくても勝てるということを選手たちに教えていきたい」と指導に熱を込める。
コロナ禍で時間が限られる中で、練習にも工夫が凝らされている。
グループ別にメニューを組み立て、待ち時間がないようにするとともに、メニューが終わったあとは指揮官のもとに選手たちが集まり、意見交換を繰り返す。
小さなことの積み重ねが、結果を導いたことが分かった。
声でチームを盛り上げる新村陽大(2年=捕手)は「毎日、強い気持ちで練習しています」と牽引する。
■挑戦者の気持ちを忘れずに
チームは、長瀬主将、1年夏からメンバー入りしているエース井崎玲央(2年)、捕手・新村を核として学年を超えた競争が生まれている。
1年生の板橋壱晟(外野手)は守備範囲が広く、国学院栃木戦でも好捕をみせた。
1年生内野手の成瀬諒、此元聖、山口陽平、小林帆央も力を伸ばし、チームが活気付いている。
交流戦で好結果を残したチームだが、ここはゴールではなく単なるスタート。
交流戦はコンディションが整っていなかったエース井崎がこれから復帰し、チームは井崎と長瀬主将のダブルエース体制になる。
交流戦でつかんだ手応えを秋・春・夏につなげていくことが求められている。
長瀬主将は「挑戦者の気持ちを忘れずに、チームとして成長したい。
秋・春・夏の大会でも私学を倒して、勝ち上がりたい」と引き締める。
栃木商は、交流戦の「勝利」を飛躍のターニングポイントに変えていく。