2017年夏、2019年秋ベスト8の実力校
明るく前向きに冬トレに挑み、主力平均体重10キロ増
各大会で力強い戦いをみせる共栄学園。2017年夏の東東京大会、2019年秋都大会でベスト8に進出したチームは今年、進撃の続きをみせていく。
■グラウンドに根付く共栄魂
これまでは我慢の時間だった。共栄学園は、2017年夏の東東京大会、2019年秋都大会で強豪を撃破しベスト8に進出した。攻守に迫力ある戦いぶりによって甲子園に近づいたと思われた。しかし、2019年秋の台風によって江戸川河川敷グラウンドが浸水、さらに2020年春からのコロナ禍によって練習が大きく制限されてしまった。2019年秋以降、ベスト8へ辿り着けていないものの、先輩たちが蒔(ま)いた種はしっかりとグラウンドに根付いている。前チームは2022年夏に5回戦で関東一と対戦。1対5で敗れて準決勝進出は逃したが、その種が発芽する時期は近づいている。関東一戦では、3年生エース池田恵徳から2年生茂呂潤乃介へのダブル左腕継投。夏の悔しさを知る本格派左腕・茂呂が今季のチームの軸となる。
■左腕エース茂呂、最速137キロをマーク
茂呂は上一色中出身。中学時代は2番手投手だったが、成長できる場として共栄学園を選んだ。1年生秋からマウンドに立ち、昨夏は4回戦新宿戦、5回戦関東一戦で登板。東東京大会後に、一時体重が落ちたというが、その後の食トレとウエイトトレで83キロにフィジカルアップ。それに伴い、球速が137キロまで上昇。カーブ、スライダー、カットボールなどの球種を操り、ピッチングに幅が生まれた。昨秋1次予選は初戦で堀越と対戦。茂呂は好投をみせたが打線がつながらずに0対2で惜敗。チームにとっては長い“冬”になってしまったが、茂呂はその後、関東強豪との練習試合で好投するなど手応えをつかんでいる。東東京屈指のサウスポー茂呂は「三振にこだわらず、状況に応じたピッチングができるようになってきた。チームを勝たせるピッチャーになりたい」と春を待つ。
■投打のスケールアップ、強度増
チームはスケールアップを図っている。秋予選敗退が9月上旬だったため、“異次元”のフィジカル強化に取り組んだ。朝練後、学食で朝食をたっぷり食べて、補食を挟みながら体重を管理。チーム平均で7キロアップ。主力選手たちは平均10キロの体重アップに成功した。その一方で、チームは「明るく前向きに」をテーマに、ポジティブ志向で練習に向き合った。横田優生主将(2年=内野手)は「つらい練習も前向きに取り組むことでチームが盛り上がっていった。自分たちの代で共栄の歴史を変えたい」と力を込める。チームはエース茂呂、主砲・菊池虎志朗(2年=捕手)を軸に投打の強度を高める。原田健輔監督は「選手が100%の力を発揮できれば十分に戦える。力を発揮させるのが指導者の役割だと考えている」と選手に寄り添う。心技体強化を図ったチームは、歴史を変えるためにグラウンドに立つ。