OB指揮官と経験豊富なコーチ陣が率いる努力の集団
気持ち新たに夏へ向かう

秋に手応えを感じたものの、春は予選敗退した浜名。夏に向けて、個々のポテンシャルを発揮するべく練習に全力を注いでいる。(取材・栗山司)

■2度目の甲子園を目指す

西部地区の有力校・浜名。2003年には選抜大会に出場し、ダルビッシュ有(現パドレス)を擁する東北(宮城)と接戦を演じた。
 あれから21年。2度目の甲子園出場に向けて一歩ずつ階段を昇る。
 指揮をとる中道誠監督は同校のOBで就任4年目。元プロ野球選手の山内和宏氏(元南海他)、日産自動車でプレーした経験を持つ西川勇人氏が外部コーチとしてサポートしている。
 グラウンドに着き、まず目を引くのが三塁側のベンチ横に掲げられた横断幕。「やりきれ」という言葉が記されている。主将の中村蒼太(3年=内野手)は「日々、練習を全力でやりきることをスローガンに取り組んでいます」と胸を張る。

■夏へのリスタート

足や小技を絡めた機動力を駆使し、昨年の秋は県大会に出場した。初戦は市立沼津に勝利。2回戦で日大三島に敗れたものの、自信と課題を胸にオフ期間に突入した。中道監督は「現状の力として精いっぱい戦ってくれた」と評価。一方で、さらに次のステージに上がるために、個々の力を上げる必要性があった。「冬の間、力をつけようと一生懸命に取り組んでくれた。けれども、前年に比べると、数値的な伸び率が少なかった。各選手の主体性に任せていきたいと考えているが、私の方からうまく促せなかった反省が残る」
 春の県予選は初戦で小笠と対戦。0対7(7回コールド)で完敗した。すぐに、ミーティングを開き、何が足りなかったのかを話し合い、夏に向けてリスタートした。「この冬は体作りの面でやりきれない部分があって、それが、この春の結果に出てしまったのかなと。夏までの残りの期間で、もう一度、体を作り直して、やりきれるようにします」。こう話す中村主将を中心にナインの気持ちは切り替わっている。

■可能性を秘めた選手たち

今年の浜名は守備から流れを作り、攻撃につなげる。投手陣の中心となるのが、安田壮汰(3年)と村木来地(3年)の2人。安田が「夏はチームを勝たせられるピッチャーになる」と誓えば、村木は「自分の持ち味を発揮したい」と意気込む。また、中道監督が「大化けする可能性がある」と期待する長身右腕の松下紘也(2年)も控える。 
 攻撃陣は先頭の廣岡暖人(3年)が出塁して、3番の中村が還すパターン。さらに井岡睦海(2年)はスタンドに放り込めるパワーを持つ。
 夏に限れば2年連続で初戦敗退。可能性を秘めた選手たちが全てを「やりきった」先に頂点が見えてくる。

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