
静岡商
「自覚・徹底・覚悟」
選抜優勝など輝かしい実績を持つ地域伝統校
名門復活の予感、今夏まで5大会連続8強進出
1952年の選抜で全国優勝、1954、1968年の夏甲子園で準優勝を果たし、春夏計15度の甲子園出場実績を誇る伝統校・静岡商。伸びしろ豊かなチームは「自覚・徹底・覚悟」を軸に20年ぶりの甲子園を目指していく。(取材・栗山司)
■5季連続でベスト8へ
グラウンドのベンチ上に掲げられた「自覚・徹底・覚悟」の言葉を胸に、日々鍛錬を積む。今夏を含め、5季連続で県ベスト8入り。曲田雄三監督は「彼らが8の基準を作ってくれたのは大きい。そこで戦って初めて、何が足りないのかが分かってくる」と語る。
シード校として臨んだ今夏は、初戦・3回戦をともにコールド勝ち。4回戦では知徳との接戦を制した。
そして迎えた準々決勝は、宿敵・静岡との一戦。初回の好機を逃すと、逆に先制を許す展開に。最後まで粘り強く戦ったものの0対5で敗れた。
先輩たちが築いた財産を受け継ぎ、さらに一歩先を目指す新チーム。2年生が8人と少なく、戦力面では前チームに及ばないと自覚する分、まとまりを武器に努力を重ねている。まずはチーム内のルール徹底から取り組み、プレー精度の向上はもちろん、積極的にゴミを拾うなど環境面にも気を配る。
■打撃強化に振り切る
新チームの秋季大会は県予選で3連勝を飾った。しかし、県大会は初戦で御殿場西に敗退。チャンスを作りながらも、あと一本が出なかった。
大会後の選手ミーティングで浮上したのが、打撃力の必要性だった。「とにかくバットを振り込もう」。その意見に曲田監督も同調した。「もう割り切っていくしかない。大会後はバッティングと走塁に特化しています」。
静岡商といえば、堅守で最少失点に抑え、バントを絡めて確実に1点を奪う伝統のスタイル。ただ、ベスト8の壁を越えるために、指揮官は「幕の内弁当からの脱却」と表現する。「メインディッシュが欲しい。それが今年で言えば、バッティングだと思っています」。
取材日もフリーバッティングを軸に、走塁練習と素振りに班分けし、最後はベースランニング。攻撃強化に振り切った内容だった。
一方で、決して守備を疎かにしているわけではない。主将の宇田柊斗(2年=右翼手)は「守備練習を減らしている分、フリーバッティングではノック以上に生きた打球を捕っている」と語り、意識のベクトルを変えてレベルアップを図っている。
■伸びしろ豊かなチーム
投手陣はまだ柱と呼べる存在はいないものの、秋の大会で背番号1を背負った渥美爽(2年)に加え、匂坂隼士(1年)ら好素材が控える。
来春、そして勝負の夏へ。曲田監督が「伸びしろしかない」と期待を寄せるチームが、甲子園を目標に歩みを進めていく。









