「何をするかよりも、どんな意識で練習するかが大切だ」 住吉信篤監督
「関東大会に出場できたことでチームは成長できた」 塩坪永勢主将
11年ぶりの関東大会 2009年以来の選抜険しく
群馬2位で関東大会へ進出した前橋商が、初戦で常総学院(茨城2位)に敗れた。
2009年以来の選抜は難しくなったが、この戦いが選手たちをさらにたくましくする。
2020年12月号掲載
■初回の4失点が響いた結果
茨城2位の常総学院は、元日本ハムなどでプレーしたOB島田直也監督が率いる。
2020年夏から指揮を執り、関東大会出場を果たした。
関東大会初戦は伝統校同士の対戦となった。
前橋商の先発はエース茂田侑大。制球力が特長の安定感ある投手だが、立ち上がりは慣れないマウンドに苦しんだ。
「傾斜が低く、感覚がつかめなかった。ストライクを取りにいった球を打たれてしまった」という茂田は初回に5連打を浴びて4失点。
だが、2回以降は立ち直り、本来のピッチングをみせていく。
奮闘するエースを打線で援護したかったが、前橋商のマシンガン打線が、常総学院エース秋本璃空のストレートを捕えることができない。
最速144キロの本格派右腕・秋本は来秋のドラフト候補。
前橋商打線は、食らいついていったが3回までノーヒット。
0対4で3回まで進む。
■4回の攻防が勝敗を分けた
ポイントは4回表の前橋商の攻撃だった。
1死後、4番塩坪永勢主将が2塁打で出塁、2死後に6番茂田のライト前ヒットで、ホームを狙う。
際どいタイミングだったが、果敢なヘッドスライディングも及ばずにホームでタッチアウト。
塩坪は「練習から何度も繰り返してきた走塁だったが、アウトになったということはスタートのタイミングなどに甘さがあったのかもしれない。あそこでホームに戻れなかったことが敗因の一つだと思う」と悔やんだ。
チャンスを逸したチームは、4回裏に1失点すると、6回には4点を奪われて0対9の7回コールド負けとなった。
住吉信篤監督は「初回の4点がすべて。4点ビハインドの状況で、相手投手を打つことができなかった。負けてしまったが、スタメン3人が1年生という若いチームにもかかわらず、一丸となって関東までこられたことは評価できる」と選手を労った。
■「収穫」と「課題」を糧に来春へ
前橋商を下した常総学院は、最終的に決勝まで勝ち上がり、優勝・健大高崎に敗れたものの準優勝となった。
前橋商は、関東トップレベルのチームとの戦いで得た「収穫」と「課題」を糧に、来春へ向かう。
「関東大会に出場できたことでチームは成長できた」(塩坪主将)。
冬の練習内容を問われた住吉監督は「何をするかよりも、どんな意識で練習するかが大切だ」と語った。
関東大会敗戦から、何を学び、どう行動するか。
その先に甲子園がある。