【横浜隼人 野球部】「変魂勝進」#横浜隼人

「逆転の隼人」復活へ
2009年夏の甲子園劇もう一度

 2009年夏に初の甲子園出場を果たした横浜隼人。ミラクルな勝利を演出するチームは「逆転の隼人」という愛称がついた。あれから12年、チームはコロナ禍での逆境に立ち向かう。

■甲子園までの“距離”  

「逆転の隼人」の愛称は、いまも語り継がれている。

2009年夏 の神奈川大会で快進撃をみせた横浜隼人は、トーナメントで数々の逆転劇を演出。準決勝・桐光学園、決勝・桐蔭学園でも「華麗なる逆転」を表現して、神奈川の頂点に立った。私学強豪の称号を手にしたチームはその後もトーナメント上位に食い込み、2014年から2017年にかけては8大会連続でベスト8入りを果たすなど、甲子園との“距離”はそう遠くはなかった。

しかし、2018年春以降、チームはベスト8に到達することができていない。敗れたチームの多くは甲子園経験校という巡り合わせもあり、さらに昨年はコロナ禍となるなど難しい状況。3学年合わせて部員120人を超える大所帯のチームは、「密」を避けながら工夫を凝らしてトレーニングを行っている。

■『WITH コロナ』の野球  

1月からの緊急事態宣言下、チームは公立校の取り決めに準じて、練習は週3回。チームを3グループに分けて、時差、時短でトレーニングを積んできた。去年の冬は、紅白戦で実戦経験を積んできたが、今年は限られた時間、限られた環境で、できることを実行してきた。百戦錬磨の名将・水谷哲也監督は「今年の選手たちは、昨年春を含めて練習時間が足りない。しかし、それを悲観しても何も生まれない。『WITH コロナ』の野球、練習を考えていかなければいけない」と語る。

指揮官は、限られた練習時間で「量」が確保できないならば「イメージ」が重要と説く。「量をこなせば質が上がり、質が上がれば量をこなせるという意味の『量質転化』という言葉があるが、いまは『量』が増やせない。そこをカバーするのはイメージで、『イメージ』と『質』の融合が大切になる」(水谷監督)。

横浜隼人は、イメージを質に転化し、進化を遂げていく。

■負のスパイラルを断ち切れ  

2019年秋は2回戦で桐光学園、2020年夏独自大会は4回戦で星槎国際湘南、そして昨秋は、1回戦で日大藤沢に敗れた。コロナ禍の逆境ではあるが、どのチームも条件は同じ。言い訳はできない。チームとしては負のスパイラルを断ち切る必要がある。

今季のチームは、逆風の中でも齋藤星太主将(新3年=内野手)と高橋一輝副将(新3年=外野手)を軸に士気が高まる。今年のスローガンは「変魂勝進(へんこんしょうしん)」。齋藤主将は「隼人は最近勝てていないので、自分たちの代でこの状況を変えていく。そのためには気持ちから変わっていかなければいけない。それが勝利につながっていくはず。もう一度、『逆転の隼人』と呼ばれるようになっていく」と力を込める。

逆転のイメージはできている。あとは、球場でシナリオを演じるだけ。逆転劇の主役は、選手たちだ。

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