春夏通算6度の甲子園出場
2003年夏以来の聖地へ
春夏通算6度の甲子園出場を誇る小山。文武両道の精神を貫く伝統進学校は、自分自身と戦いながら心身の成長を目指す。その先に7度目の甲子園がある。
■輝かしい伝統に見守られながら
輝かしい伝統は、いつの時代になっても色あせない。小山高の野球部部室前には、1976年の選抜甲子園準優勝、2003年夏甲子園出場を伝える木製看板が掲げられている。選手たちは日々、それらに見守られながら鍛錬を積んでいる。福田昂生(3年=内野手)は「OBや地域の応援に感謝しながら、伝統にふさわしい戦いをみせなければいけないと思っています」とグラウンドに立つ。
チームを率いるのは、宇都宮清陵時代の2006年秋に関東大会出場の実績を持つ斎藤崇監督。コロナ禍でも公立で勝つ策を練り続ける指揮官は「どんな状況でも、やるからには勝利を目指す。戦いには勝敗がつきものだが、まずは自分に負けないことが大切。それは自分次第で絶対に勝つことができる」と指導に情熱を注ぐ。
■秋季大会は国学院栃木に惜敗
2003年夏以来、甲子園から遠ざかっているチームだが、2017年春にはベスト8に進出。近年の敗れた相手のほとんどは私立強豪。決してチームの力が落ちているわけではない。2020年夏の栃木交流大会2回戦では青藍泰斗に4対5で惜敗、同年秋季大会では足利南、栃木工を下して3回戦へ進出。国学院栃木と互角の戦いを演じたが4対5で敗れた。2年生左腕の大澤奏次郎が好投し勝利も見えてきた中で、ミスから失点して流れを渡してしまった。勝負は紙一重。国学院栃木は結果的に、県大会を制して関東ベスト8まで勝ち上がった。
谷島大介主将(3年=投手)は「国学院栃木戦は勝てる試合でしたが、ミスが響いて負けてしまった。ただ、私学相手でもしっかりと戦えるという手応えを得ることができました」と秋季大会を振り返る。斎藤監督は「私学を倒すにはノーミスが必須。まだ足りない部分があったということ。逆にそれはチームの伸びしろとも言えます」と、選手たちの奮起を促す。
■投打に個性あふれる選手たち
春を迎えたチームは、緊張感を漂わせながらも活気にあふれている。規律に準じながら自主的に練習に取り組む姿が印象的だ。投打に個性あふれる選手たちが学年の枠を越えてポジション争いを展開し、それがチーム力向上につながっている。投手陣は、谷島主将、2年生左腕大澤の2枚が計算できる。打撃は、ミート力のある一番打者・石塚翼(3年=外野手)、力強い打球を飛ばす4番の福田、勝負強さが武器の山口航汰(3年=内野手)らが牽引していく。
投打のバランスが整うチームは、夏のダークホースになりうる存在だ。「勝ち上がることで小山の伝統をつないでいきたい」(谷島主将)。地力をつける小山は、伝統のチカラをインストールしてダイヤモンドへ向かう。県立伝統校の矜持が躍進の原動力となる。