【千歳丘 野球部】「下克上」 #千歳丘

2021年3月、新グラウンド完成
都立屈指の環境でリスタート

 

2021年3月、千歳丘に待望の新グラウンドが完成した。2017年からの校舎新築工事に伴い練習環境が限られていたが、これで都立屈指の環境となった。チームは新たな環境で下克上を狙う。

■2017年以来4年ぶりのグラウンド

新築の校舎をバックに、選手たちが新グラウンドで躍動している。新校舎と褐色のコントラストが眩しい。選手たちは、水を得た魚のようにグラウンドを駆け回っている。

千歳丘野球部にとって、この4年間は我慢の時間だった。2012年夏にベスト8、2014年夏に4回戦へ進出するなど実績を残してきた都立実力校だが、2017年からの校舎新築工事に伴うプレハブ校舎設置によってグラウンドが縮小。その影響で部員も減ってしまった。2017年春に着任した秋本則彦監督は、限られた環境下でもチームに情熱を注ぎ、じっくりと力を蓄えてきた。2019年11月にモダンな新校舎が完成。そして校舎完成から1年4カ月、プレハブ撤去などのすべての整備が終わり、新グラウンドがお披露目となった。

■7年ぶりに秋季都大会出場

千歳丘は昨秋の秋季大会一次予選で奮闘し7年ぶりに都大会へ出場した。チームは一次予選初戦で田無、同決勝で多摩・羽村連合に勝利。都大会1回戦で東洋を下して、2回戦では日大三と対戦。強豪相手に力はおよばなかったが都大会出場を決めたことで春の本戦切符を得ることになった。  選手たちは新グラウンド完成を“追い風”にすべく準備を進めていったが、コロナ禍によって年末から練習に制限が加わり、約3カ月間自宅での自主トレが続いた。そして3月20日の“こけら落とし”で練習試合を実施し春の始動となった。緊急事態宣言延長により春の予選が中止となり、多くの学校にとって春季大会がなくなる中、千歳丘は都立15チームの一つとして春季大会へ出場。約2週間という限られた準備期間で、私学強豪の佼成学園と対戦し敗れた。点差こそついたが、チームにとって収穫もあった。選手たちはこの敗戦を糧に強くなる。

■強い気持ちで「夏」へ

今年のチームは、佐藤和輝主将(3年=内野手)、186センチの大型エース船山友征(3年=投手)を軸に一つになっている。チームはグラウンド縮小の4年間、校舎の空きスペースを有効活用し、トレーニングを積んできた。新グラウンド完成後もその経験は生きている。

秋本監督は「グラウンドができたからといってチームが自然に強くなるわけではない。これからは環境を言い訳にすることができない。どう行動するかが大切だ」と説く。昨秋は日大三、春は佼成学園に敗れた選手たちは、強い気持ちで夏を見据える。佐藤主将は「この環境で練習できることは当たり前ではありません。これまでの先輩たちの努力があったからこそ僕らはここで野球ができる。先輩たちのためにも強豪を倒して下克上を果たしたい」と練習に励む。

千歳丘の新たな歴史は、新グラウンドで紡がれていく。

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