【静岡西】 「収穫」

唯一の3年生が引退し12人で新チームスタート
経験のある1、2年生がひたむき努力で成長中

スポーツを通した教育を推進する静岡西。夏の努力がすでに成果として現れ、チームは軌道に乗り始めている。(取材・栗山司)

■部員不足を経て

山あり川あり、豊かな自然に囲まれた静岡西。「スポーツコース」が設けられているのが特色で、冬場はスキー、夏場はウインドサーフィンの実習もある。  野球部は現在、2年生8名、1年生4名で活動している。県ベスト4入りの実績を持つ強豪も、近年は部員不足に苦しみ、3年生はわずか1人だけ。今年の新入生が入学するまではギリギリの人数で戦った。下級生主体のチームは1年間で練習試合を含め2勝しかあげることができず、大差で負けることがほとんどだった。就任5年目の志田真佐和監督は「人は宝です」としみじみと話す。

■課題練習でレベルアップ

志田監督は「経験値がある分、個々の能力を上げることが重要だと思った」と夏休みは午前、午後を通しての1日練習をこなしてレベルアップをはかった。  ただ、練習するだけではない。毎日、課題練習の時間を設けた。「自分の課題を自分で見つけることで成長につながると思った」と志田監督。ティーを打つ選手、ノックを受ける選手、ストレッチで柔軟性を高める選手。2人一組のペアとなり、黙々と課題に向き合った。「一番成果が出ていた」と指揮官が褒めるのが主将の岡田翔碁(2年=捕手)。これまで盗塁を刺すことができなかったが、課題練習で送球フォームを見直して、秋の大会では2つの盗塁を阻止した。「夏休みの練習はきつかったけど、だんだんそれがなくなってきました。それぞれ考えてやるので、1個の動きが完成していく感じでした」  8月5日には誠恵と練習試合後、合同練習を行った。「私学の選手の覚悟を知ってもらいたかった」と志田監督の提案で実現すると、キビキビとした動きや声の掛け方を見て、翌日からチームの雰囲気がガラリと変わったという。意識が高まり、11日の磐田農との練習試合で新チーム初勝利。その後も、勝てる試合が少しずつ増えていった。

■目指すは公式戦勝利!

迎えた秋の県予選。科学技術と対戦した。2点を追いかける7回に一挙3点を奪って逆転に成功。その裏に2点を許して、3対4で敗れたものの、接戦に持ち込んだことで、チームはさらなる手ごたえを感じた。1イニングに2失点以内に抑えるという目標も達成できた。  チームのスローガンは「楽しく、雰囲気良く」。プレーを楽しむことはもちろん、そこに厳しさを忘れないことも心掛けている。「今までは勝ちを知らないから練習をやってもなかなか成果が見えてこなかった。それが結果が出ることで、野球が面白いと感じ、練習に身が入る。今はいいスパイラルに入っている」(志田監督)。  結果が出ることに喜びを感じ始めた静岡西ナイン。まずは2019年夏以来の公式戦白星を掴む。

 

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