【藤沢西 野球部】「最弱から最強へ」 #藤沢西

チームテーマは「心の成長」
2年生6人がチームを全力牽引

 

 公立気鋭・藤沢西は2018年秋の県予選で鎌倉学園を撃破、その後の大会でも格上相手に善戦するなどダークホースぶりを発揮してきた。今季の 選手たちも困難を乗り越えて、たくましくなっていく。

(2021年3月号掲載)

■「秋」は8月29日に終戦  

12月、心地良い「声」がグラウンド全体に響いていた。それは、決して強制されているわけではなく、勝利を渇望する選手たちの心の叫び。一人ひとりの声がチームを変えている。昨年の秋季大会以降、チームは大きな成長を遂げた。  

昨秋は、あっという間に終わってしまった。コロナ禍の影響で予選は例年のリーグ戦ではなく、トーナメントとなった。藤沢西は、新チーム始動直後の8月29日に予選1回戦・藤沢翔陵を迎えたが、チームは自分たちの力を発揮する間もなく1対11で敗れた。こんなはずではなかった。チームには虚しさだけが残った。

■涙のミーティング  

今季の2年生はマネージャーを含めて6人。

三宅裕太監督からは「史上最弱」と、愛情入りの発破をかけられていた。2年生たちは、指揮官を見返すべく始動したが、秋季大会予選で完敗。その後の練習試合でも不甲斐ないゲームが続いたという。

なぜ勝てないのか。

悩みを抱えた山田光之介主将(2年=内野手)は、ミーティングで仲間たちに心境を打ち明けた。「このままではいけない」「なんとかしたい」。悩める主将を敢えて遠くから見守り続けた指揮官は、選手たちに問いかけた。「お前たちは、キャプテンが苦しんでいるのをみて何も感じないのか?」「チームとは何か?」。自然に涙があふれてきた。キャプテンも泣いていた。

■ベンチの声がチームを変えた  

ミーティング後の週末、チームは川崎北と練習試合が組まれていた。選手たちは全力でぶつかっていったが、8回までに1対6と点差を広げられた。

またダメなのか。チームは嫌なムードに押しつぶされそうになった。

しかし、ベンチの「声」がチームを蘇らせた。「あきらめるな」「ここから行くぞ!」。その声は、ベンチに広がり、いつの間にか一体感が生まれていた。チームは9回に5点を奪い、6対6の同点に追いついた。勝つことはできなかったが、これがチームのターニングポイントになった。

■史上最大の番狂わせ起こせ  

一つになったチームはこの冬、ぐんぐんと成長していった。チームは山田主将、そして冬からモチベーションリーダーになった大塚裕斗(2年=外野手)を軸に2年生たちが結束、1年生たちの意識も劇的に変わった。投手陣は絶対エース岩崎壮多(2年)を中心に、1年生の池田悠人、堂上佑真、山口太凱らが力を伸ばす。打線は、核弾頭の今井良祐(2年=一塁手)、4番・小野朗路(2年=中堅手)が鋭い打球を飛ばしている。

昨秋は未熟だったチームだが、涙のミーティングを経て、たくましくなっていった。山田主将は「リーダーシップのない僕についてきてくれる仲間に感謝している。逆境を乗り越えたことによってチームは変わったので、結束力を武器に春・夏は勝ち上がっていく」と胸を張る。

最弱から最強へ。藤沢西の選手たちは、史上最大の番狂わせを起こすべく、春・夏へ向かう。

 

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