強豪のプライドと深い絆を持つチーム
目標の全国優勝に向かって立て直し

2022年の春夏連続甲子園出場が記憶に新しい日大三島。昨秋は県大会準々決勝で敗退し、気合を入れ直したところだ。名将の就任から4年が過ぎようとしている。(取材・栗山司)

■絆の深いチーム

この冬、日大三島は力を蓄えている。エースの小川秋月(2年)は最速144キロを誇る本格派右腕。同じく140キロ台のストレートを投げる山本真尋(2年)、強肩強打の捕手・桐島大輔(2年)、スラッガーの渡邉景唯(2年=内野手)らを擁し、その実力は全国レベルと言ってもいいだろう。一方で、「全員の仲が良く、絆も深い」と主将の小林和生(3年=内野手)。チームワークにも自信を持っている。
 「東海大会優勝」を目標に掲げた昨年秋。県大会初戦は浜松開誠館と対戦し、5回コールド(11対0)で勝利。前年秋に負けた相手に対し、立ち上がりから選手全員の気迫を結集して圧倒した。
 しかし、準々決勝で東海大静岡翔洋に敗れる。2回に逆転したものの、その後、再逆転を許して2対7でゲームセット。「完全に力負けだった」と小林は振り返る。守備はノーエラー。ヒットも9本打った。力を出し切っても、勝ち切ることができなかった。「こんなに力不足なのかというのを実感しました。それが今の練習に繋がっていると思います」。

■冬は1日1000スイング

秋の大会後、改めてチームの目標を立て直した。「春は東海大会優勝、夏は甲子園に出て勝つ」。オフ期間は打撃であれば全員が1日1000スイングをノルマとした。それもただ振るだけでなく、足にチューブを巻いて負荷がかかった状態でのティー打撃もある。あの負けを忘れまいと、苦しいときでも選手間で声を掛け合って乗り越えている。
 個々の能力を上げると同時に、緊張感も高めている。1つのミスがあると、すかさず他の選手から声が上がる。「エラーやミスを流さないで、全員で言い合って追求していくことをテーマに練習しています」(小林)

■名将とともに駆け上がる

指揮をとるのは永田裕治監督だ。報徳学園(兵庫)時代には全国制覇を含む、春夏通算18回の甲子園出場。2020年に日大三島に赴任すると、2022年には春夏連続で甲子園に導いた。今チームも百戦錬磨の名将から全員野球の大切さ、勝負に対する厳しさを学び、選手たちの顔つきが少しずつ変わってきた。主将の小林はこう声を掛けられているという。「永田先生から『甲子園で優勝するぞ』という言葉をいただいています。そんな大きな目標を立ててくれたので、やるしかないと思っています」
 永田監督は時代や校風に合わせながら主体性も引き出し、「そこは報徳のときとは違う」と笑う。日大三島のグラウンドは晴れている日には右翼奥に富士山がくっきりと見える。頂上に向かって、全員野球の日大三島ナインが走り出す。

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