【神奈川工 野球部】「公立から甲子園へ」

2019年秋ベスト16進出。

妥協なき全員野球で目指す聖地

2019年秋の県大会4回戦で横浜相手に0対1の好勝負をみせた神奈川工。

「公立から甲子園へ」をスローガンに掲げるチームは、本気の挑戦を続けている。

(取材・伊藤寿学)

■ 秋季大会は横浜相手に大善戦

2019年秋の県大会4回戦の相手は、横浜だった。

周囲には大差がつくとの見方もあったが、ゲームは予想を覆す展開になっていく。

マウンドに立ったエース山城陽(2年=投手)が初回に1失点こそしたものの、その後のスコアボードに「0」を並べていった。

イニングが進むたびに、どよめくスタンド。

横浜を本気にさせたチームは、0対1の状況でゲーム終盤へ持ち込んでいく。

ワンチャンスで勝機を狙っていったが、どうしても1点が奪えずに0対1のまま敗戦。

金星をあげることはできなかったものの、その戦いぶりはチームに大きな自信を植え付けた。

■ 野球は『9対9』の戦い

2012年からチームを率いているのは、OBの信太俊郎監督。

1999年の主将としてチームを率いて、甲子園を目指した。

「公立から甲子園へ」のスローガンを掲げて後輩たちの指導にあたる指揮官は、愛情を込めてノックを打ち込んでいる。

神奈川工は1990、2004年夏に甲子園まで「あと1勝」に迫る準優勝となった実績を持つ。

当時と比較して、野球環境の変化や私学台頭などにより、「公立から甲子園へ」の難易度はかなり上がっている。

それでも信太監督は「野球は『1対1』の競技ではなく、『9対9』の戦い。

小さなチームでも強豪を倒せることを選手たちに伝えたい。

そのためには、練習で細部を突き詰めていかなければいけない」と情熱を注ぐ。

■ 夏大会後の球場で選手MTG

新チームはゼロからのスタートだった。

3年生主体のチームは今夏2回戦で伊志田にサヨナラ負けを喫して、夏を終えた。

1・2年生たちは、試合後の球場で、新チームとして最初の選手ミーティングを実施して始動した。

エース山城は「自分たちの代で絶対に結果を残したかったので、試合後にみんなで話し合った」と振り返る。

8月の福島県4泊5日夏合宿を経てベースが固まったチームは、秋の地区予選に臨んだが、初戦で市ケ尾に敗れて厳しい状況となった。

しかし、その後新栄、横浜桜陽戦で勝利し予選を突破。

県大会3回戦では、再び市ケ尾と対戦したが執念の逆転勝利で4回戦へ駒を進めた。

チームは一戦一戦で、たくましくなっていった。

■ 勝ちきるチームへ

投打の戦力は充実している。

横浜戦の好投によりエース山城の存在がクローズアップされるが、信太監督が手塩にかけて育てる投手陣は、滝口淳也(2年)、熊谷勇大(2年)らがブルペンでしのぎを削る。

クリーンアップは、山城、川原昇空(1年=内野手)、野口結詩(2年=外野手)が座り、熊谷蒼大(2年=捕手)、齋藤尚輝主将(2年=内野手)らが脇を固める。

齋藤主将は「一人ひとりが変われば、チームは変わっていく。

練習から本気で取り組んで、チーム全員で戦っていく。

春・夏は強豪に勝ちきれるチームになりたい」とグラウンドへ向かう。

神奈川工は、妥協なき姿勢で道なき道を突き進む。


神奈川県立神奈川工業高等学校

【学校紹介】
住 所:神奈川県横浜市神奈川区平川町19-1
創 立:1911年
甲子園:なし
100年以上の歴史を持つ県内初の工業高校。

「カナコー」の愛称で親しまれる野球部は1990年、2004年夏に県準優勝し甲子園へあと一歩まで迫った実績を持つ。

2019年秋ベスト16進出。

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