スローガンは「心の耐力」
関東大会4強進出で選抜切符。
2年ぶり11度目の選抜で、9年ぶりの選抜制覇へ
秋季関東大会でベスト4へ進出した東海大相模が、2年ぶり11度目の選抜出場を決めた。
甲子園切符を受け取ったチームは、「全国制覇」を目標に準備を進めていく。
(取材・武山智史)2020年3月号掲載
■ 「選抜出場」が目標にあらず
1月24日午後4時過ぎ、練習開始前の東海大相模グラウンド。
野球部員はホームベース前に並び緊張した表情を見せる。
しばらくすると大金眞人校長が姿を現し、選抜出場決定が伝えられた。
選抜決定用の集合写真を撮り終えると、チームは1塁側ベンチ前で全体ミーティング。
門馬敬治監督は「選抜出場が目標ではなく、この先が目標なんだ」と強調した。
その後のウォーミングアップでは粛々と、そして活気あふれる中で、普段通りのメニューをこなしていった。
■ 神奈川3大会連続V
今年の東海大相模の最大の持ち味はその攻撃力だ。
前チームからレギュラーを張る1番・鵜沼魁斗(2年=外野手)、2番・加藤響(2年=内野手)、3番・山村崇嘉(2年=内野手)、4番・西川僚祐(2年=外野手)と並ぶ上位打線は破壊力抜群。
4人の高校通算本塁打は計150本を超える。
昨夏の神奈川大会決勝・日大藤沢戦では4回、鵜沼が2ラン、山村が3ラン、西川も2ランとその破壊力を見せ付けた。
新チーム結成後も秋季神奈川県大会で4回戦の桐蔭学園戦で11対0(6回コールド)、準々決勝の湘南工大附戦で23対0(5回コールド)、準決勝の相洋戦で12対1(8回コールド)と勝ち上がり、決勝の桐光学園戦は6対2で勝利、春、夏、秋と3大会連続で神奈川を制した。
昨秋、順調に勝ち進んできた東海大相模にとって、転機となったのは関東大会準決勝・健大高崎戦だった。
5回表を終えて2対0とリードしていたが5回裏に、エラー絡みで5失点。
その後も追加点を許し2対8で敗れる結果に。
オフシーズンは健大高崎戦で浮き彫りとなった守備と走塁に力を注ぎ、練習を重ねてきた。
12月の強化練習前には門馬監督から「心の耐力」というテーマが発表された。
主砲・西川は「強化練習はチームのレベルアップはもちろんですが、自分たちが厳しいことに取り組んで成長していくもの。
とにかく自分との戦いでした」と振り返る。
年が明けるとグラウンド左中間後方ネットに「心の耐力」と書かれた横断幕が掲示され、チーム全体で共有された。
■ 9年ぶりの選抜制覇へ
東海大相模にとって、最近出場した甲子園は春夏ともに苦い思い出がある。
2年前の選抜準決勝・智弁和歌山戦では中盤までリードするも終盤に追いつかれ、延長戦の末に10対12で敗退。
昨夏3回戦の中京学院大中京戦では7回に逆転を許し4対9と敗れた。
山村主将は「終盤の弱さが課題として残ったので、序盤だけでなく終盤の攻撃にもこだわって取り組んでいます」と打線について語っている。
目指すは2011年以来、9年ぶりの選抜制覇。
東海大相模といえば試合序盤から相手を圧倒する「アグレッシブ・ベースボール」が代名詞だが、終盤に突入しても攻撃の手を緩めない攻撃をセンバツで見せつけたいところだ。
スローガン「心の耐力」を胸に秘め、選抜開幕に向けて着々と準備を重ねていく。
【監督コメント】門馬敬治監督
「ここ(選抜出場)が目標ではなく、この先を目標に毎日の練習に取り組んでいる。
悔いのないよう一日一日、練習していきたい。
3月19日(選抜開幕日)にベストで迎えられるように、しっかりと練習を積み重ねていきたいと思う」
【選手コメント】山村崇嘉主将
「選抜に選出されたことに感謝している。
昨秋の関東大会では守備と走塁で負けたため、この冬は守備と走塁を鍛えてきました。
自分たちは甲子園で、これまでのリベンジをすると決めているので、その意識を持って練習に取り組んでいます。
選抜では全国制覇を狙う」