３年生だけのメンバーで有終の美
幻の選抜出場チーム、笑顔の終戦
国士舘は今大会、３年生だけの戦いを選択した。
準決勝で佼成学園に敗れたが、完全燃焼した。
笑顔で戦い抜いた代替大会だった。
2020年9月号掲載
■日野、早稲田実を下して準決勝へ
昨秋都大会優勝の国士舘は、今夏西東京大会の第１シードだった。
春の選抜が幻となり大会後に甲子園交流戦が控えるチームは、独自大会を３年生だけで戦うことを決めていた。
２回戦で清瀬、３回戦で国分寺に勝利すると、４回戦の相手は日野だった。
日野は、昨夏の初戦（３回戦）で、４対５のスコアで敗れた相手。
リベンジ戦となったが、エース中西健登が完封し２対０で勝利。
続く準々決勝、強打・早稲田実戦でも中西が力投し、齋藤光瑠の活躍などにより４対１で勝ち上がった。
準決勝の相手は、佼成学園。４回戦、準々決勝で中西が連投となったため、準決勝は中西をベンチに置く総力戦となった。
■準決勝は３年生全員の総力戦
佼成学園戦の先発は、駒崎友哉。３回途中で２番手・岩瀬風馬にマウンドを譲り、打線の援護を待った。
国士舘は０対３とリードを許した５回裏２死１・２塁から、齋藤の打球が左翼手のエラーを誘い２点を返す。
さらに６回には黒澤孟朗の三塁打を皮切りに１点を追加、吉田健吾の犠飛で３対３の同点に追いついてみせた。
盛り上がる国士舘ベンチ。
ゲームはイーブンのまま終盤へ突入していった。
国士舘は７回から鎌田州真がマウンドに上がり、リズム良い投球で、相手打線を抑えていく。
ゲームの流れは国士舘に傾いていたように思えたが、そこに野球の難しさがあった。
９回表先頭打者・佐藤凛に、ソロアーチを左中間スタンドへ運ばれて１点を奪われた。
９回、国士舘は代打に活路を見出したが、チャンスを演出することができずに３対４で敗れた。
■最後まで笑顔でプレー
準決勝は、エース中西の出番はなかった。
ゲーム終盤、一度はブルペンに入ったが、マウンドに立つことはなかった。
８月１日の４回戦・日野、８月３日の準々決勝・早稲田実の緊迫した２戦で９回まで投げ抜いた主戦に対して永田昌弘監督は「中西は疲労を考慮して投げさせなかった。駒崎、岩瀬、鎌田の３人がよく投げてくれたと思う。みんなで最後まで戦うことができてよかった」と３年生の健闘を称えた。
今大会の目標は、３年生全員のベンチ入り。
準決勝まで勝ち上がったことで３年生全員が試合を経験。
選抜大会が中止になるなど苦難を味わった選手たちは、最後まで笑顔でプレーし続けた。
西東京大会後、国士舘は、選抜出場予定校が参加した甲子園交流戦で磐城と対戦し４対３で勝利、有終の美を飾った。
