夏甲子園3度出場するなど真夏に底力をみせる日大鶴ヶ丘。
「東京制覇」を目指して、特別な夏へ向かう。
2020年8月号掲載
■ この夏をどう戦うか?
コロナ中断明けの6月上旬、3年生たちは選手ミーティングを行った。
甲子園なき夏。選手たちは、それぞれの気持ちを素直に打ち明けて、独自大会へのリスタートを図った。
3年生たちからは、いろいろな意見が出た。
その一つに「独自大会は、3年生だけで戦ってみたい」という声があった。
独自大会へ向けての各チームの方向性は様々。
そこに答えはない。
西岡良祐主将(3年=外野手)は、萩生田博美監督やコーチ陣に「3年生案」を伝えた。
西岡主将は「春大会に続いて、夏の甲子園が中止になって、3年生たちのショックは大きかった。
その中で『3年生チームで戦いたい』という声があって、監督・コーチに相談しました」と打ち明ける。
■ 一つになったチーム
萩生田監督は、選手たちの要望を受け止めた上で、「甲子園大会が中止になった今、どうするべきか」を選手たちに問いかけた。
新チームは昨年夏大会後、「東京制覇」を目標に掲げてスタートを切った。
昨秋大会は1回戦で、関東一に2対4で惜敗。
東東京強豪に対して一歩も引かない戦いをみせたが、追いつくことができなかった。
選手たちはあの悔しさをバネに練習に励んできた。
コロナ中断期間中も、甲子園への希望を信じて努力を続けてきた。
甲子園へ続く道が消えた状況下で、何をすべきなのか。
萩生田監督は「選手たちは『東京制覇』のために練習してきました。
独自大会では、高野連が東西決勝も用意してくれている。
3年生の気持ちは十分に理解できますが、日大鶴ヶ丘の伝統を継承する意味でも最終的にはこれまでの夏と同じように戦っていこうと結論づけました」と話す。
西岡主将は「みんなで話し合ったことで方向性が決まりました。東京制覇に向けて、学年に関係なく競争することでみんなが成長できると思います」と振り返る。
選手たちの意見を受けて、チームは再び一つになったのだった。
■ 終わらない夏
チームは、西岡主将を軸に、寺田孔也(3年=外野手)、森悠紀(3年=捕手)、保坂大輝(3年=外野手)ら個性溢れる選手たちが揃う。
2年生の長田悠磨(内野手)、黒須真太朗(内野手)も力を伸ばす。
投手は、エース中條凌佑(3年)を軸に、今年も頼れるピッチャーたちがマウンドを懸けてしのぎを削る。
チームは6月下旬の活動開始直後から紅白戦を重ねて、実戦感覚を養ってきた。
グラウンドには、野球に飢えた選手たちの笑顔と活気があふれ、例年以上に熱い雰囲気になっている。
「甲子園大会はなくなったけど僕たちの夏は終わっていない」(中條凌佑)。
夏の「ニッツル」は、特別な夏へ向かう。
日本大学鶴ヶ丘高等学校
【学校紹介】
住 所:東京都杉並区和泉2-26-12
創 立:1951年
甲子園:夏3回
野球部は1990年夏に甲子園初出場。2008、2014年に甲子園出場を果たした。2018年夏西東京準優勝。